「浅草と言えば雷門。そして仲見世を通り、浅草寺のお参りへ」――それが浅草散策の定番中の定番だ。仲見世は風情があり、楽しい店も多く並んでいる。初めて行くなら絶対に外せない。しかし、最近はとにかく人が多い! 多すぎる!! ということで、あえて仲見世以外で浅草らしさを楽しめる街歩き・食べ歩きをしてみた。

仲見世もいいが、たまにはそれ以外へ!

浅草の周辺には風情ある通りがいっぱい!

浅草を浅草たるものとしているのは、何も浅草寺があるが故だけではない。その周辺の通りという通りで永年をかけて培われてきた風情をもってして、江戸情緒あふれる下町・浅草となっているのである。

浅草には名前のある通りが多い

このあたりには、名の付いた通りが多い。伝法院通り、浅草六区通り、六区ブロードウェイ、すしや通り、ホッピー通り、奥山おまいりまち、西参道商店街、ひさご通り、言問通りなどである。それぞれに異なった特徴があり、その特徴が名前になっているところもあるため、「これは何通りだろう」と考えながら歩くと面白い。

見れば見るほど何かが見つかる「伝法院通り」

伝法院通りは浅草寺の南側にあり、仲見世と交差した通りだ。仲見世を歩いていて「あら? 」と気付くとこの通りに入っていた、という人もいるかもしれない。伝法院通りには、オープンな感じの昔めかしい服屋が並ぶ一方、これでもかというほど食べ歩きグルメの店も並んでいる。一風変わったグルメも多い。しかし、ここであまり飛ばしすぎると後が続かなくなるのでご注意を。

伝法院通りは江戸の雰囲気満載

何はともあれ、食べ歩き1件目。「おいもやさん」は、芋問屋が開いたという芋菓子屋で、創業明治9(1877)年の老舗だ。「スイートポテト」(250円)や「大学いも」が人気とのこと。スイートポテトは滑らかで香り豊かな逸品となっている。

スイートポテト(250円)。ほんのりリンゴの香りがするような気がしたが、リンゴは入っていない。バニラエッセンスの香りだったようだ

続いて、「安心や」で目に飛びこんだのは、「餅ドッグ」(300円)と「日本酒ジェラート」(350円)! 餅ドッグはウインナーにお餅を巻きつけて油で揚げ、ピリ辛ソースをかけたもので、もっちりした食感が楽しい。日本酒ジェラートは純米吟醸「三諸杉」が使われているというほろ酔いスイーツだ。

「餅ドッグ」(300円)は、注文してから揚げるため、3分ほど待つ。軒下に5つほどイスがあり、日を避けて涼みながら味わえる

「日本酒ジェラート」(350円)。アルコールが0.9%ほど入っている

ちょっとオシャレにサクサク食べ歩きたいなら「浅草かりんころん」のかりんとうはいかがだろう。「黒ごまシュガー」「ピリ辛きんぴらごぼう」「江戸っ子海苔」など、一風変わったかりんとうが並んでいる。和紙のアートなパッケージもかわいい。

今回は「大人のわさび」(422円)をチョイス。ピリッとしたわさびの辛さと甘みで、大人の飲み物(=ビール)が欲しくなる

伝法院通りはたくさんの風鈴の音に包まれている。涼やかな音色を楽しみながら、通りの上やら横やら、時には下やらも見回してほしい。建物の壁に鼠小僧や石川五右衛門がいたり、街灯にも小気味いい文句が書かれたりと、見飽きない。

「飛んで火にいる夏の虫」ならぬ、「とんでゆに入る夏のぶし」

浅草公会堂の「スターの広場」には、ビートたけしさんや森光子さんなど、往年のスターや芸人などの手形が並んでいる

昭和30年代風な風景も

「六区ブロードウェイ」で伝統文化を楽しむ!

伝法院通りから浅草六区通りを通過すると六区ブロードウェイへとたどり着く。その名の通り、以前は興行街として栄えた300mほどの通りだ。現在は、映画館など幾つかの劇場は閉鎖されてしまったのだが、落語や漫才、紙切りなどの芸が見られる「浅草演芸ホール」は見ておきたい。

ここは、萩原欣一さんやビートたけしさんを輩出したところで、その外観はドラマ『タイガーアンドドラゴン』(宮藤官九郎脚本)にも登場した。しかし、残念ながら食べ歩きができる店は見当たらなかった。

通過地点の「浅草六区通り」の風景は、何だか外国っぽく見える

浅草演芸ホールで寄席を楽しんでみるのも一興

六区ブロードウェイと並行している「ホッピー通り」は、これまたその名の通り、飲み屋街である。ちなみにホッピーとは麦芽を使用した低アルコール飲料で、焼酎で割って飲むのが一般的である。続いてはこのホッピー通りを歩いてみよう。