7月に発表されたトヨタの新型「カムリ」は、パワートレインまで含めたオールニューTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー、詳しくはこちら)であることもアピールポイントだ。ではその結果、走りはどうなったのか。試乗会でドライブしてみると、同じカムリという名前を引き継いだことに違和感を持つほどの内容に仕上がっていた。

新型「カムリ」に試乗(画像は「G“レザーパッケージ”」)

ドイツ勢に挑戦? トヨタの新型セダン

「セダン復権」に「オールニューTNGA」、そして「ビューティフル・モンスター」。先月、トヨタが新型カムリの発表会で語った言葉は、最近の日本でのカムリの販売台数から見れば、あまりに挑戦的だ。

もちろんカムリは、米国で15年連続乗用車ベストセラーという人気車種なので、トヨタが力を入れるのは当然なのだが、2リッター以上のセダンでは国産車以上によく見るんじゃないかと思われるメルセデス・ベンツやBMWなどの輸入車に、本気で戦いを挑んできたという見方もできる。

それを確かめるには、乗ってみるのが一番だ。というわけで、7月下旬に千葉県で行われた試乗会に足を運んだ。現場ではエンジニアにも話を聞くことができたので、その内容を含めてお届けしたい。

目を引くスタイリングにTNGA効果

まずはスタイリング。発表会では人ごみに隠れて分からなかったフォルムが明らかになった。旧型カムリは典型的な3ボックス、つまりエンジンルーム、キャビン、トランクという3つの箱を組み合わせたようなフォルムを持っていたが、新型はとにかくノーズの低さと伸びやかさが目立つ。

ノーズの低さと伸びやかさが目立つ新型カムリ(画像はG“レザーパッケージ”)

エンジニアに聞くと、これもTNGA効果なのだという。「プリウス」や「C-HR」に続く低重心設計のおかげで、エンジンフードを40mm低くすると同時に、フロントピラーの位置を50mm後方に移動させることができた。新設計エンジンの排気管が後方にあるのでスペースを確保するためもあったが、プロポーションを良くする狙いもあったそうだ。

これに明確なサイドのキャラクターライン、旧型より25mm低い上にゆったりした弧を描くルーフ、そのルーフから連続するリアウインドーとトランクリッド(ふたの部分)がミックスして、カムリという名前が信じられないほどエモーショナルなフォルムになっていた。

新しい顔は、遠くから走り寄ってくるときが特に鮮烈だ。1840mmという幅の広さに対し、ヘッドランプが低い位置にあるので、スポーツクーペが来たのかと勘違いするほどだった。