JR北海道は12日、新型一般気動車の試作車(量産先行車)について発表した。おもにローカル線で運行されるキハ40形の老朽取替用として導入が計画され、車両形式はH100形、愛称名は「DECMO(デクモ)」。JR東日本の新型車両GV-E400系とほぼ同一仕様の電気式気動車となり、2018年2月に試作車(量産先行車)2両の落成を予定している。
同社は2015年6月、車齢30年を超えたキハ40形に代わる新型車両の製作を発表。試作車(量産先行車)2両を製作した後、走行試験など二冬期の検証を行った上で2019年度以降の量産車製作を予定しており、「最終的な製作両数は、従来車両の保有数140両よりは下回る見込みです」(保有数は発表当時)とのことだった。現在、キハ40形も含めた車齢30年以上の気動車を計166両所有しており、車体や使用部品の老朽化(一部の部品は生産中止)もあり、保守作業に時間を要し、メンテナンスに苦慮している状況だという。
新型車両H100形「DECMO」では、JR東日本が新潟・秋田地区へ導入予定の新型車両GV-E400系と基本仕様を合わせ、JR北海道では初という電気式気動車システムを採用。これに極寒対策など北海道独自の仕様を加えた車両となる。愛称名「DECMO(デクモ)」は「Diesel Electric Car with MOtors(モーターで走行する電気式ディーゼルカー)」から取られた。1両で運行可能な両運転台車となり、ワンマン運転用の装置も備える。
車体はステンレス製で、エクステリア・インテリアともに「北海道らしさ」を表現している。先頭形状は「シャープでエッジ感のある」デザインとなり、車体前面の上下にLED前照灯を配置。ブラックの前面にイエローのラインで警戒色を強調し、グリーンのラインも前面に施した。車体側面のグリーンとホワイトのラインは自然との調和を表現したという。床面高さは115cmで、従来の気動車より低くすることで乗降性を向上させている。
車内は乗降口付近にロングシート、中央部に横3列(2列+1列)のクロスシートを配置し、定員は99名(座席36名)となる。グリーンやブルーなど、北海道の自然をイメージさせる色をインテリアカラーに採用した。優先席と車いすスペースを備え、トイレは洋式で車いす対応、おむつ交換台も備え、ドアはボタン操作で開閉する電動式とする。液晶式の運賃表示器を設置し、運賃表示の他に次駅案内などの情報提供も行い、外国語にも対応。室内の灯具はすべてLED灯とし、冷房装置も設置するなど快適性向上にも努める。
駆動システムを電気式気動車システム(ディーゼルエンジンの動力で発電した電力により、モーターで走行)とすることで、電車と共通の機器が採用されるため、コスト低減とメンテナンス時の負担軽減が図られる。運行時・保守時の安全性向上に加え、複雑な構造で故障しやすい機器(変速機など)もなくなることから信頼性も向上するという。2軸駆動の採用、モーターの適切な制御および増粘着材噴射装置の搭載により、急勾配での落葉や落雪による空転の発生を抑制する。ブレーキ制御方式の変更や滑走再粘着制御機能の追加により、鹿の出現などによる急ブレーキ時の車輪踏面傷の発生も抑制する。
新型車両H100形「DECMO(デクモ)」のエンジン馬力は450PS、最高運転速度は100km/h。2018年2月に試作車(量産先行車)2両が落成(予定)した後、2019年3月まで二冬期にわたり、走行試験をはじめ各種検証を進めていく。