――『アマゾンズ』season2のお話に戻って、そういった狙いをもって制作された1話を見たときの感想はいかがでしたか?

台本としては、少年たちの「チームX(キス)」から始まって、千翼くんを主軸に次第次第にこの世界はどうなっているのかというのを紐解いていく。一方で、「4C(特定有害生物対策センター)」 という組織のプロさを匂わせていくという2つの軸で、構成としてすごくうまい。でも不安はあるんですよね。わかりやすいんだけど、お客さんの理解はさておき、ハートをつかめるかというのは賭けだなと思っていました。

実際の映像では、これはたぶん白本彩奈さんという人のすごさだと思うんですけど、もうこれは石田秀範監督とも我々は勝ったなって言葉を交わしました。何に勝ったのかはわからないんですけどね(笑)。イユさえ成立すれば……これは千翼役の前嶋曜くん以前に、とにかく「イユの存在感」が作品の肝になっちゃう。

たぶんこの「イユの存在」というのが一番大きな賭けで、あとは若干SFがかってはいますけど、理解できるし、千翼のキャラクターも共感可能なんですよね。本当は千翼は共感不可能なのかもしれないけど、でも1・2話くらいだったら共感可能なレベルにとどまっている。とどめているんですよね、あえて。でもイユだけは想像を絶しているので。これを見事に、本来の持ち味プラスその演技力で演じのけた白本彩奈というのは……。彼女がカメラの前にいた瞬間、我々はなんかわからないけど"勝った"んだと思いましたね。

――確かに、白本さんの存在感は圧巻でした。白本さん、前嶋さんはどのような経緯でキャスティングされたのでしょうか?

もちろん2人ともオーディションなんですけど、千翼って何の変哲もない少年、「チームX」という少年たちの中にあって、どちらかというと目立たなくて、アマゾンネオに変身するのだけが取り柄のように見えるけど、そこに何かを秘めている。直接的に言ってしまうと人肉に飢えているんですけど、「何か秘めたものがある」ということを感じさせるのは難しいところで、演技力だけではたぶんダメなんですね。

ご本人のキャラクター性というのか、"柄(ガラ)"っていうといけないのかもしれないですけれど、本人がそういうものを持っていないと表現できないという、ある種難しい役どころ。なので非常に千翼役選びは難航するんですよ。前嶋くんって演技経験はゼロという中で、でも"柄"としては千翼にぴったりだったんです。

オーディションって、何人かの中から選べばいいというものではない。一人でいいんですよね。この2人のうちどっちかにしようという話ではなくて、その一人がいればいい。そこにたまたま前嶋曜という人がいてくれたので、千翼が成立した。あとは懸案であるところの芝居ができるように、本人を含めてみんなで頑張るという。