中国でもSUVが人気、NEV生産はいまひとつ伸びず

中国では生産台数が右肩上がりに伸び続けており、2016年の2660万台が2023年には3470万台に達する予想となっている。ちなみに、2023年になっても中国には1000万台分の余剰生産能力が残るそうだ。

中国市場の特徴は、これは世界的な潮流でもあるが、SUV系の人気が上がっていることだ。2017年1~2月の累計で、販売台数はSUV系が前期比15.8%の増加。一方、セダンは10.1%、ミニバンは24%の減少になったという。この期間の全セグメントを合わせた販売台数は前期比5%の増加。かつてのような爆発的な伸び率ではないが、堅調に成長している様子がうかがえる。

中国政府は新エネルギー車(NEV、エコカーのこと)の普及を急いでいるが、現時点で同国の生産台数はそれほど多くない。2017年1~3月の実績で見ると、NEVの生産台数は5万8000台。中国全体の自動車生産に対するシェアで言えば3%にとどまる。PwCの予測によると、2023年に中国で生産されるNEVは260万台で、シェアは7.5%となる。

日本メーカーが注力すべき市場は

PwC Autofactsの予測を紹介したPwCあらた有限責任監査法人の手塚謙二氏

中国市場は拡大していく予想だが、ローカル企業が力をつけているし、現時点では独フォルクスワーゲンや米GMに勢いがあり、ここに食い込むのは容易ではない。ドル箱の米国市場は減速気味だ。このような状況を受けて、日本メーカーはどうすべきなのだろうか。PwCの読みでは、今後数年はASEAN市場での取り組みが重要度を増すという。

ASEANは日本メーカーが大きなシェアを握る得意市場。需要は低迷していたが現在は回復基調に入っており、2017年1~4月の累計ではインドネシアで前期比6%、タイで同15.7%、マレーシアで5.8%の販売増となっている。ASEANは輸出拠点でもあり、このエリアの生産台数は2016年の400万台弱が2023年には600万台と1.5倍に拡大する見通し。手塚氏は「日系の牙城であるASEANにおいて、いかにしっかりとしたオペレーションを行い、台数を稼ぐか」が大事になるとの見方を示していた。