ポピニカ コンバインシリーズ

いささか前置きが長くなってしまったが、いよいよ『超電磁ロボ コン・バトラーV』の登場である。1976年に放送開始した東映製作のアニメ作品である本作は、それまでのロボットアニメでは見られなかった革新的なアイデアが採用された。それは、「アニメで行われているメカの変形・合体が玩具商品で忠実に再現できる」というものだった。

複数のメカが変形・合体する巨大ロボットの先がけといえば、永井豪氏と石川賢氏が原作を務めた伝説の名作『ゲッターロボ』『ゲッターロボG』があるが、発売されたイーグル号、ジャガー号、ベアー号のポピニカを組み合わせても、当然ながらゲッター1の姿にはならない(ただし、イーグル号の先端を変形させることで、ゲッター1の頭部に近いイメージを持たせるギミックが存在した)。アニメーションの基本的魅力である「メタモルフォーゼ(変化)」の面白さとダイナミックさを狙ったゲッターロボの合体とはまた違ったコンセプトで、合体ロボットの醍醐味を味わわせてくれたのが、我らが『コン・バトラーV』なのであった。

コン・バトラーVは、5つのバトルマシン(バトルジェット、バトルクラッシャー、バトルタンク、バトルマリン、バトルクラフト)が合体(コンバイン)し、巨大なロボットの姿になったもの。バトルマシンはそれぞれ単体メカニックとして確立したデザインであると同時に、ロボットの各パーツを構成している。

バトルマシンの商品は「ポピニカ」として1台ずつ売り出され、単品でも十分に楽しめる仕様になっているのだが、5台そろえるとテレビと同じようにコン・バトラーVが完成する。もともと「ポピニカ」として満足できる大きさで売られているので、コン・バトラーVになると全高約30cmという巨大さとなり、各パーツにダイキャストを使っているため子どもの力では長い間持っていられないほどの重量になった。

しかし、それだけに5台を集めて合体を実現させた子どもたちの満足度には、ものすごいものがあったという。また、コン・バトラーVの勇姿をいち早く観たいがため、バトルマシン5台一気に購入する豪気なご家庭も少なくなく、玩具店では5台のポピニカを紐でまとめて販売したところもあったと、商品企画・開発を行ったポピー(当時)の村上克司氏が回想している。この流れを受け、バトルマシン5台と付属パーツをひと箱にまとめた高額商品「コンバインBOX」も発売され、後続商品(合体・変形を行うDX超合金)の販売スタイルの先がけとなった。

コン・バトラーVのヒットは、翌年に同一の合体コンセプトを備えた(合体ギミックにさらなる技術的発展を遂げた、合体ロボの完成形というべき存在の)『超電磁マシーン ボルテスV(ファイブ)』(1977年)のほか、後続するさまざまな合体・変形ロボを生み出した。未来感覚にあふれたデザイン、緻密なディテールに加え、システマチックな変形や合体のメカニズムはメインターゲットである子どもたちだけでなく、大人のコレクターの心をも動かした上に、海外からの熱烈なファンも多い。80年代の「超合金」シリーズのパッケージには「世界の超合金」というコピーが堂々と付けられているほどだ。

「超合金 GA-54 コン・バトラーV」