2016年度の業績で売上高・販売台数ともに過去最高を達成したスバル。今年度も台数は増え、売上高も増収の予想なのだが、なぜか営業利益は減益の見通しだ。その理由を探ると、スバルの独特な事情と将来に対する考え方が分かってくる。

2017年5月9日の決算説明会に登壇したスバル代表取締役社長の吉永泰之氏

前期は実質的に増益

まずはスバルの2016年度業績を振り返りたい。売上高は3兆3260億円、連結販売台数は106万4500台と、ともに5年連続で過去最高を更新。台数でいえば、同社としては初めて100万台の大台に乗せた。

営業利益は2015年度比で3割近い減益となる4108億円だった。1500億円を超える大幅な減益だが、スバルの説明によると、このうち1400億円以上は円高に振れた為替の影響だという。為替影響以外の減益要因には、いわゆるタカタのエアバッグ問題に関連するリコール費用も含まれている。決算説明会でスバルの吉永社長は、「(2016年度は)実態としては増益を確保」したとの見方を示した。

注目したいのは、すでに始まっている2017年度(2018年3月期)の業績予想だ。販売台数は前期比4万1000台増加の110万5500台、売上高は同940億円増収の3兆4200億円を見通しているにも関わらず、営業利益は8億円の減益となる4100億円を予想している。

なぜか減益予想の2017年度

為替レートについては、2016年度実績の1ドル=108円から今期は同110円と円安に振れると想定。クルマも売れて、為替も好転する見通しなのに、減益を予想しているのはなぜなのか。吉永社長の言葉から探った。