自動車業界が急速に変化、スバルはどうする
「自動車史として、次元が変わる技術進化が起きている」。スバルの吉永社長は、独ダイムラーがメルセデス・ベンツの戦略として掲げる「CASE」という言葉に言及しつつ、現在の自動車業界をこのように分析した。CASEはConnected(つながるクルマ)、Autonomous(自動運転)、Shared & Service(カーシェアリング)、Electric Drive(クルマの電動化)という4つの言葉の頭文字だ。
このような状況の中、スバルは試験研究費を前期の1142億円から1340億円に増やす。何に注力するのかといえば、吉永社長が強調したのが電動化の部分だ。
ただ電気自動車(EV)を出せばいいというのではなく、「いかにスバルとして魅力あるEVを開発できるかが勝負」というのが吉永社長の考え方。電動化の方向性としては、プラグインハイブリッド車(PHV)については提携関係にあるトヨタ自動車から学び、EVの方でスバルらしいクルマを開発するという方針のようだ。
PHVは2018年、EVは2021年の発売を予定。スバルらしいEVの在り方は現時点で未知数だが、現状の商品群から考えれば、車重が重くてバッテリーの減りが早いといわれる、SUV型のEVに同社が挑戦する可能性もゼロではないだろう。
やるべきことは、きちんとやる
スバルといえば高い営業利益率が特徴の1つだが、試験研究費が膨らむことで、今後も減益の流れが続くとすれば、その特徴を維持するのは難しくなる。このあたりについて吉永社長は、2桁の利益率を維持していく方針に変わりはないと明言しながらも、業界の現状を踏まえ、「(試験研究費の増額のような)やるべきことは、きちんとやる」という考え方を示した。
販売台数は増加、売上高は増収、為替は好転を見通しながらも、営業利益は減益というスバルの今期業績予想だが、その中身を見ると、同社の姿勢が前向きであることを感じられた。