全般発作

全般発作を起こす特発性の全般てんかんには「小児欠神てんかん」「若年性欠神てんかん」「若年ミオクロニーてんかん」などがあり、症候性の全般てんかんには「ウエスト症候群」「ミオクロニー欠神てんかん」「レノックス・ガストー症候群」などがある。

大脳の両側にまたがる広範囲で発作が起きるため、全般てんかんはほとんどのケースで意識を消失する。以下に全般発作の種類をまとめた。

■強直(きょうちょく)発作……突然意識を失い、歯を食いしばって両脚が固まるといった症状を呈し、強直したまま倒れこむケースもある。個人差はあるが、症状は数秒から数十秒ほど続くのが一般的とされている。

■間代(かんたい)発作……ひざを折り曲げる格好をとり、手足をガクガクと曲げたり、伸ばしたりするけいれんが起きる。

■強直間代発作……意識を失い全身が硬直する強直発作に続き、手足のけいれんが現れる間代発作が起きる。

■欠神(けっしん)発作……一定時間にわたり意識が消失するといった症状が出る。個人差があるが、消失時間は数~数十秒ほどとされており、意識がとんだ事実に気づかないこともある。

■脱力発作……全身の筋肉の緊張が低下、もしくは消失するため、くずれ落ちるように倒れてしまう発作。

■ミオクロニー発作……両手や体の一部分の筋肉が、一瞬強く収縮するという症状が現れる発作。

各種てんかんの代表例

難治性てんかん向けの治療法も

国内の100人に1人がてんかんを患っていると考えられており、計算上では100万人以上のてんかん患者がいることになる。難治性のてんかんを患う人もいるが、てんかん患者の多くは日常生活において健常者と大差ない生活を送れている。医学の進歩により、現在は抗てんかん薬で発作をコントロールできるケースが多くなってきているためだ。また、てんかんの種類によっては手術も可能だという。

「大前提として手術は完全に発作を止められるわけではないですが、病変によってはかなりの確率で発作を止められるてんかんもあります。全般発作を外科的に治療するのは難しいですが、部分発作の原因となる側頭葉てんかん(海馬硬化症など)のように、明らかな病変がある場合はそこを取り除けば治癒率は高くなります」

さらに去る2010年には、難治性てんかん患者向けに「迷走神経刺激療法」が保険適応となった。これは延髄から腹腔まで広く分布している迷走神経に一定の間隔で電気刺激を与え、てんかん発作の回数を減らしたり、発作の程度を軽くしたりすることを目指す治療だ。もちろん今後、難治性てんかん向けのさらなる治療法が開発されることも考えられる。

福島医師は「てんかんといっても不治の病ではありません。明らかな原因があれば、そこを治療すれば治ります」と話す。発作の種類によってさまざまな症状を呈するてんかんだが、どのてんかんに該当するのかが判明すれば手術も選択肢に入れられるため、QOLが著しく向上する可能性も出てくる。

きちんと正確なてんかんの診断をしてもらうことが、てんかんと付き合っていくうえで極めて重要だと認識しておこう。


記事監修: 福島崇夫(ふくしま たかお)

日本大学医学部・同大学院卒業、医学博士。日本脳神経外科学会専門医、日本癌治療学会認定医、日本脳卒中学会専門医、日本頭痛学会専門医、日本神経内視鏡学会技術認定医。大学卒業後、日本大学医学部附属板橋病院、社会保険横浜中央病院や厚生連相模原協同病院などに勤務。2014年より高島平中央総合病院の脳神経外科部長を務める。