12歳前後で始まって以降、毎月やってくる生理。しかし女性が年齢を重ねると、やがては「閉経」し、生理が来ることはなくなります。
閉経の前後には、さまざまな症状や体の変化が起こるといわれています。それらは、いつ頃、どのように起こるのでしょうか。今回は、どんな女性にも訪れる閉経の基礎知識をお伝えします。
閉経とは
閉経とは、卵巣の機能が次第に衰え、生理が完全に止まること。生理が止まった後、生理がない状態が1年間以上続けば、閉経したと診断されるのが一般的です。
閉経の目安はいつ?
閉経する時期には個人差がありますが、日本人の平均的な閉経年齢は50歳前後といわれています。若い女性は、まだ先のことのように思えるかもしれません。しかし最近では、20代や30代で卵巣機能の異常により閉経してしまう女性も増えています。これは「早発閉経」と呼ばれ、多くの場合は原因不明ですが、ストレスや無理なダイエットが関係していると考えられています。そのほか、遺伝や免疫の異常などが早発閉経を引き起こす可能性もあります。
早期閉経を避けるには、アレを食べればよい!?
閉経前に現れる症状の特徴
閉経に向けた体の変化は、30代後半からすでに始まっています。女性の体の中では、35歳を過ぎたあたりから、卵巣の加齢が少しずつ進み始め、妊娠や生理に大きな影響を与える女性ホルモン「エストロゲン」の分泌も減り始めます。
45歳前後になると、エストロゲンの分泌は急激に減少します。するとホルモンバランスが不安定になり、生理の周期が長くなったり短くなったりと、不規則になりやすくなります。
また、ホルモンバランスの崩れが自律神経の乱れを引き起こすため、不眠や肩こり、冷え、頭痛のほか、のぼせやほてりとともに大量に汗をかく「ホットフラッシュ」と呼ばれる症状が起こることも。イライラや憂うつなどの精神的な症状に悩まされる人もいます。
40代の女性にこれらの症状が出始めたら、閉経の「前兆」となっている可能性があります。
閉経前の前兆が出ない人も!
なお、閉経前後の約5年間を「更年期」といい、先に挙げた閉経の前兆といえるさまざまな症状を「更年期症状」と呼びます。40代半ばになって生理不順が続いたら、そろそろ更年期に入り、閉経に近づいているのだと考えて、心の準備をしておくとよいかもしれません。
ただ、更年期症状には個人差も大きく、人によっては、特に前兆がなく、突然生理が終わることもあるようです。また、不正出血(生理時以外の出血)がある場合は、子宮筋腫や子宮がんなどの病気の可能性もあるので注意が必要です。
閉経後はどうなる?
閉経すると、卵巣の機能が止まるため、妊娠しなくなります。ただし、いったん閉経したと診断されても、その後1年ほどは、妊娠する可能性がゼロではありません。妊娠を望まないのであれば、避妊を続けた方がいいでしょう。
そのほかの体の変化としては、卵巣から分泌されていた女性ホルモン(エストロゲン)がほとんど分泌されなくなるため、おりものの量がぐっと減ります。腟のうるおいも少なくなるため、セックスのときに痛みを感じることもあるでしょう。また、エストロゲンは、骨や血管の健康を維持する役割を担っているため、閉経してエストロゲンの分泌が低下すると、骨粗しょう症や動脈硬化などの病気にかかるリスクも高まります。
更年期症状の治療法
閉経前後に生じる更年期症状は、婦人科で、女性ホルモンを補う治療ホルモン補充療法や漢方療法などを受ければ、改善する可能性があります。先述のように、症状の陰に病気が潜んでいる可能性もあるので、症状がつらいときや気になることがあれば、必ず医療機関を受診してください。
更年期から閉経後にかけての性生活では、パートナーとよく話し合って、無理のない範囲で工夫しながら楽しむことが大切です。セックスのときの痛みがある場合は、ホルモン補充療法で改善することもありますし、潤滑ゼリーを使う方法もあるので、婦人科を受診した際に相談するといいでしょう。
何かと不調が多い更年期ですが、更年期症状が落ち着くと、精神面でも体調面でも安定した時期がやってきます。閉経後の50代や60代になっても、多くの女性が仕事や趣味を楽しみながらアクティブに過ごしています。若いうちは「閉経なんてまだまだ先」と思いがちですが、更年期を前向きに乗り切るためにも、今のうちから知識を身につけておきましょう。
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記事監修:星合明医師
星合勝どきクリニック 院長
1986年獨協医科大学・医学部医学科卒業。1992年獨協医科大学大学院卒業。同年獨協医科大学付属病院産婦人科臨床助手。1994年より獨協医科大学産婦人科教室非常勤講師。その後、文京区星合産婦人科病院副院長を経て2001年2月より、東京都中央区勝どきにて「星合勝どきクリニック」を開設、医長を務める。