源氏ボタルと言えば初夏の夜を彩るものなのに、季節外れな今、SNSが源氏ボタルの話題でもちきりだ。なんでも、宮城県内のとある道の駅「林林館」で販売されている「源氏ボタルアイス」がヤバいというのだ。

SNSで人気に火が付いた「源氏ボタルアイス」(税込280円)

何がヤバイかと言うと、中身と外見のギャップ。羽を休めてお尻を光らすホタルの写真がデザインされたフタを開けるや、いかに大目に見ようが到底ホタルとは言いがたいキャラクターが微笑んでいるのだ。

えっ!? ハチのお尻が点滅……!?

夜空を想起させる黒ゴマアイスの上に堂々と鎮座するそのキャラクターは、どう見てもハチ。しましまの胴体の先っぽは針を有すためにシュッととんがり、透明の羽はふわりと立ち上がって、優雅な空の散歩を楽しんでいるようだ。

しかし……である。なんとお尻の先端に、ホタルの光をイメージしたと思しき金粉がトッピングされているのだ。

えっ……これがホタル……!?

この理解不能なデザインについてスタッフに探りを入れたところ、林林館のスタッフから得られたのは、「私たちもフタを開けてズッコケました」という謎の回答。

スタッフも気付かぬ間にデザイン刷新

どういうことかと追究してみると、「2016年夏までは、トッピングはチョコペンで描いた源氏ボタルと金粉だとスタッフ一同認識していたのですが、2017年にtwitterで話題となっていた、ご購入者さまがアップされた商品写真に驚いて中身を確認しようとフタを開けたところ、社長をはじめとするその場にいたスタッフ全員、『ハチ!?』とズッコケたというわけです(苦笑)」。

とは言え、この改良(?)をきっかけにテレビ番組でも源氏ボタルアイスが取り上げられ、結果として「例年にはないペースでたくさんのお客さまにお買い求めいただいています」とスタッフもほくほく。雪が舞い散る底冷えする日にも関わらず商品を手にレジに並ぶお客に、応対するスタッフが「あのtwitterをご覧になったのですね……」と声を掛け、お互いに頬を染めるといった一幕がみられることもあるのだとか。

なんともほっこりするエピソードであるが、林林館スタッフが日々いかにほのぼのとした様子で仕事をしているかは、林林館のfacebookページからもひしひしと伝わってくる。

facebookでは各スタッフのおすすめメニューが紹介されることも

年明けには、おすまししてカメラにおさまったスタッフ写真に「あけましておめでとうございます」の言葉を添えて投稿し、何げない日常には厨房スタッフのイチオシメニューを紹介。そして、源氏ボタルアイスがフィーバーした暁には、トッピングのハチをクローズアップした手作り感溢れるコラージュ写真で画面をにぎわせ、ページ来訪者をくすりと笑わせてくる。

まるで親戚の集まりのよう!

怪しいアイスは他にも……

こうした投稿を眺めているだけでも、現地を訪れて一緒にほのぼの気分に浸りたくなってくるが、実際、林林館が立地する宮城県登米市東和町は、豊かな自然が心身ともに癒やしてくれる一級の観光名所。

「清流で育ったお米や野菜、ゴボウなどの根菜類は灰汁が少なくおいしいことで有名です。そうした環境ですので、清流にしか生息できない国指定天然記念物のゲンジボタルも、林林館のすぐそばを流れる鱒渕川で観ることができますよ」と教えてくれたスタッフによると、ゲンジボタルは林林館のマスコットキャラクターとしても採用されているため、くだんのアイスが発売されるにいたったのだとか。

思わず「ジャジャーーーーーーーーーーーーン!!」のアテレコを入れたくなる一枚

加えて、「怪しいアイスたちはまだまだいますよ~」とスタッフが紹介してくれたラインナップも強烈。「仙台牛肉アイス」に「牛タンアイス」に「茶色い焼きそばアイス」……。さらには、「伊達の塩アイス」に「ごんぼアイス」「ササニシキアイス」とどんな味なのか気になるものばかりだ。

「源氏ボタルアイス」には実はこんな仲間たちも(値段は全て税込280円)

ちょうどタイミングよくこれから3カ月もすればホタルが飛翔を始める季節だし、観光がてらおいしいアイスでお腹も心も満たされてくるのも一手かも。

「人とのコミュニケーションも自然も大好きで、清流のように心清らかでおおらかなスタッフばかりです。震災以降は、望郷の想いを胸に、故郷復興への一助となりたいと帰郷してきた若いスタッフもたくさんいます。2017年4月には、宮城県では13番目となる『道の駅 三滝堂』もオープンしますが、どちらもゲンジボタルのすむ清流の街・東和町にありますので、ぜひ源氏ボタルアイス同様ご愛顧くださいね」とスタッフ。

最後には、「源氏ボタルアイスで、林林館スタッフと一緒にズッコケましょうっ」とののほほんメッセージで〆てきたところもさすが! まだ少し肌寒さの残る今のうちから、2017年のホタル観賞予想シーズンをネットなどでチェックしておくのもよいのでは!? ちなみに、林林館周辺は例年6月下旬から7月下旬が見ごろとのことなので、その期間に合わせて旅行計画を立てるのもありかも。