"キントリ"の愛称で親しまれた天海祐希主演のテレビ朝日系ドラマ『緊急取調室』が、4月からシーズン2として帰ってくる。叩き上げの取調官・真壁有希子が、凶悪犯と一進一退の心理戦を繰り広げていく同作。これまで、多くの人気シリーズに主演してきた天海だが、今作は髪を25cmもバッサリ切って撮影に臨むという気合の入りようだ。

そんなシーズン2への意気込みや、これまであまり語られることのなかった幼少時代のエピソードまでを、天海に"取り調べ"した――。


『緊急取調室』に主演する天海祐希
撮影:大塚素久(SYASYA)

――いよいよシーズン2が始まります。以前、「取り調べのシーンは戦々恐々」とおっしゃっていましたが、今シーズンもかなりセリフが多いようですね(笑)

結構、しゃべってますよね。「うわ~!」って言うぐらい(笑)。でも『キントリ』(=『緊急取調室』)をまた、連続ドラマでやらせていただけることはすごくうれしくて。新年会、忘年会、またお誕生日会と、共演のおじさまたちと"おじさまパラダイス"の食事会を何回もやって親睦を深めていたので、また皆さんとご一緒させていだける喜びとともに、セリフの多い大変なシーンも、おじさまたちと力を合わせて頑張りたいと思います。

――その食事会ではどんなお話をしているのですか?

まだ続編をやらせていただけるというお話がないときから皆、続編がある前提で会話をしていました(笑)。「次はこうしようよ」「こういうのはどう?」とか(笑)。現場でもさまざまなアイデアをくださる本当に頼もしい先輩方です。

――真実を追い求めるプロの取調官・真壁有希子の役に合わせて再びショートカットにされました。

前回の教訓を生かして、今回は最初から短くしました。前回もクランクイン前に短くしたのですが、撮影が進むに連れてどんどん「あれ、ここがちょっと長いんじゃない?」などの意見があったりして、最終回近くになると、最初から比べたらずいぶん短かったんですね。ですから今回は最初から最終型です(笑)

――それで役のスイッチが入ることもあるのでしょうか?

「ああ、キントリ仕様の髪型だな」と思いますね。

――短くすると「もったいない!」などとは感じませんか?

いいえ。結構長い期間があったので、むしろ早く切りたいと思っていました。

――これまで『BOSS』(フジテレビ系)など、続編のある作品に多く出演されていますが、シーズン2をやることについての難しさはありますか?

『キントリ』で言えば、パート1をやらせていただいたときに、数を重ねてきている分、なんとなく「有希子がこうだ」と決めてしまったところがあったようにも感じました。皆で力を合わせて作っているので、それも必要なことでもあるのですが、それに自分が慣れてしまう危険な部分もあるんですね。だから慣れず、新しい気持ちで。それでいて、自分が数を踏んだ真壁有希子としての経験を、惰性のようにではなく、新しい気持ちで積み重ねていけたらと思っています。

あとは、今回から初めて見てくださる方にも、疎外感を与えないような作りになったらいいな。「面白いじゃない」と思っていただいて、前シリーズをDVDやオンデマンドなどでも見ていただけたらうれしいですね。

――有希子はどこか人を怒らせるような女性でもありますが(笑)、演じる上で気遣っている点はありますか?

いろいろ準備して撮影に臨むのですが、共演のおじさまたちのお芝居が悔しくなるぐらい素敵なので、それに乗っていけばいいかなと。あと、実は取調室セットのサイズが決まっていて、カメラマンさんがいつも工夫しながら撮影してくださっているので、カメラマン、監督が望む画を撮れることを第一に考えています。その上で、皆さんのお芝居を生かし、「ちょっとここに入れられそうだな」というアイデアがあれば、どんどん投入していきたいと考えています。

――特にこの人は刺激を受けると思う"おじさま"はいますか?

皆さんです! セリフ、役作り、役として生きるってことはもちろんなんですけど、「あれ、ここをこんなにやるんだ?」っていうシーンがあったりするんですよ。でも、それがつながってみると「ああ、だからか。こういうところまで計算されているんだな」と感心することが多いんです。見ていてもちろん飽きないし、とても勉強になっています。

――あれから有希子は成長したのでしょうか?

前シリーズの有希子の背景として、(殉職した)旦那さんのことは自分の中では解決してないにしても、世間的な事件という形では解決となっています。有希子はそこでひとつ、区切りをつけているはず。また月日が経った分、今まで以上におじさまたちに対する距離感がもっと近いのではないかとも思っています。そういうところも描いていきたいですね。

――有希子の取り調べのテクニックにも成長がありますか?

まずこの作品は、事件を解決する、犯人に吐かせる、丸裸にするっていうことがメイン。なぜその人が犯行に至ったのかという犯人のストーリーがありながら、『キントリ』メンバーは「巨悪である事件は絶対に許さない。何があっても償わせる」という使命を持って取り調べをしています。でも、自分たちとかけ離れた凶悪な犯人と一概に決めつけて表現しないんです。どこかやっぱり人として、揺さぶられてしまうような感情の動きがあったり生き方があったり…。有希子にそんなに大きなテクニックの変化はないかもしれませんが、経験を積み重ねた分、そんな犯人に有希子がどう対応していくのか、楽しんで演じていけたらと思います。

『緊急取調室』(4月スタート、テレビ朝日系 毎週木曜21:00~21:54)
天海演じる叩き上げの取調官・真壁有希子が、特別取調室で取り調べを行う緊急事案対応取調班(通称・キントリ)のメンバーとともに、数々の凶悪犯と一進一退の心理戦を繰り広げていく作品。2014年に連続ドラマとしてスタートし、2015年のスペシャルドラマをへて、今作は連ドラのシーズン2となる。

――シーズン2のテーマは「普通の人間が一番怖い」です。これはどう解釈していますか?

日常に潜むいろいろな人間の良い感情、悪い感情、これらは、すごく大きな事件や事故のみならず、日常で誰しもが直面するものなのかもしれない。いつ犯人側になっても、被害者側になってもおかしくないことって、もしかしたら毎日起こっているかもしれませんよね。なぜ越えてしまったのか、なぜ留まらなかったのか。ちょっとした心の隙間のせいで…ということも多くあるように感じられます。

日常を一生懸命生きているだけでも、人間の感情って深いし、複雑だから、いつ犯行を起こすかわからないぐらいの怒り、苦しみ、悲しみは常に潜んでいる。そういう危険をはらんでいるから、普通に見える人ほど、もしかしたら怖いかもしれない。人間は、常にその危険を抱えながら、自分自身を律して生きようとしている存在なのかもしれないと考えます。