本田技研工業は人工知能やロボット技術などの研究・開発を行う新たな拠点「R&DセンターX(エックス)」を東京・赤坂に開設する。「クルマの知能化」をキーワードとする自動車業界の動きは活発だが、R&DセンターXはロボットなどの新価値領域に特化した活動を進めるらしい。今回のホンダの動きは何を意味しているのだろうか。
研究対象はロボティクス
R&DセンターXはホンダの研究開発子会社である本田技術研究所が2017年4月に設立する新組織。当面の研究領域は、「ロボット技術」や「モビリティシステム」など自律的に動く機械やシステム(ロボティクスと総称)だ。ロボティクスの基盤技術として、「人と協調する人工知能技術」も研究する。ロボットなどを動かす「エネルギーマネジメント」も研究対象だ。
センターの設立に先立ち、ホンダは報道陣向けに施設のお披露目を実施。このイベントに登場した本田技術研究所社長の松本宜之氏は、センター設立の背景となった時代の変化を「人工知能をはじめとするデジタルテクノロジーという新たな追い風の出現」と表現した。
クルマとITの融合が急速に進み、業種を超えた合従連衡が巻き起こる自動車業界ではあるが、ホンダにとってみれば、こうした時代の変化は新たな価値を創造するチャンスだと捉えることもできるということだろう。
人工知能やビッグデータといったテクノロジーの進化により、従来以上に幅広いフィールドで価値創造の可能性が拡がってきたとするホンダ。環境の変化を受けて、今後は「AI×Data×Hondaの強み」というコンセプトのもと、従来の「モノづくり」に加え、人と協調する新たな価値を持った「モノ・コトづくり」に取り組むという。
新たなフィールドでの価値創造に挑戦するため、ホンダは「既存の二輪、四輪、パワープロダクツ、ジェットとは切り離したR&Dセンター」(松本氏)を立ち上げた。では具体的に、R&DセンターXの研究はどのような製品・サービスに結びつくのだろうか。