トヨタ自動車とスズキが提携を検討すると発表したことで、日本の自動車メーカーはトヨタ、日産自動車、本田技研工業(ホンダ)の3グループへと集約が進んだ感がある。トヨタとルノー・日産連合は共に“1,000万台クラブ”へのチケットを手にしているが、気になるのは販売台数500万台規模のホンダの立ち位置だ。このまま自主独立路線を維持していけるのだろうか。

ホンダは自主独立路線を維持できるのか

3陣営に集約される日本勢

日産による三菱自動車への資本参加、トヨタとスズキの提携検討入りと、ここへきて日本の自動車業界の再編・集約が急速に進んでいる。

トヨタとスズキの提携が実現すると、国内自動車業界はトヨタグループ(ダイハツ工業、日野自動車、富士重工業、いすゞ自動車、マツダ、スズキ)、日産・ルノーに三菱連合と、外資を親会社とする三菱ふそう(独ダイムラー)、UDトラックス(スウェーデン・ボルボ)、ホンダに色分けされる。

乗用車メーカーで見ると、トヨタグループ、日産(ルノー)・三菱自連合、ホンダの3陣営に集約されるということだ。つまり、ホンダだけが独立する形となるわけで、ホンダが今後どう動くのか、その去就が注目されることになる。

新たな自動車再編の背景

なぜ、ここへきて日本の自動車メーカー再編の動きが進んでいるのか。その背景には、世界自動車再編が「環境対応」へと規模を求め、国境を越えた合従連衡へと発展した2000年代初頭から十数年を経て、さらに厳しくなる環境規制がある。自動運転やコネクティッド・カーといった新技術の登場も再編を加速させている。

規模の大きな自動車メーカーであっても、単独で全方位の研究開発テーマに取組むのは難しく、先端技術の投資を分担するための提携が広がっているということである。もちろん、それは自動車メーカー間の提携だけでなく、IT(情報技術)やAI(人工知能)分野など、異業種との幅広い提携も模索されている。

それにしても、日本の自動車業界はいまや欧米の自動車業界と肩を並べ、世界の自動車をリードする立場を強めている。その中にあって日本自動車メーカーは乗用車8社、トラック4社の12社メーカー体制がここまで生き抜いてきた。

だが、その業界構図の中身を見ると2000年代以降は大きく変化しているのだ。ここへきて再編が加速し、特に乗用車は3陣営に集約されようとしている。その中で自主独立を貫いてきたホンダの“孤立”が目立つことになったのだ。