法定相続人に応じた税額を計算する

基礎控除を超えた部分がある場合には、超えた金額に税率をかけて計算。このとき、法定相続人ごとの割合「法定相続分」に応じて税額を算出します。

例えば、法定相続人が妻と子供2人のときは、妻は2分の1、子供はそれぞれ4分の1(子供全員で2分の1)が法定相続分です。

仮に基礎控除を超えた部分が1億円の場合
妻:1億円×1/2=5,000万円
子供:1億円×1/4=2,500万円
子供:1億円×1/4=2,500万円
これに対して、それぞれ税率をかけて計算します。

相続税の計算式に当てはめると
妻:5,000万円×20%-200万円=800万円
子供:2,500万円×15%-50万円=325万円
子供:2,500万円×15%-50万円=325万円
となり、この合計額1,450万円が、相続税の合計金額です。

実際に負担する相続税

上記で算出した相続税を、実際に相続した遺産の割合に応じて負担します。割合は、法定相続分と同じにすることも、遺言や相続人同士の話し合いによって決めることもできます。

仮に、遺産相続の割合を妻が2分の1、子供がそれぞれ4分の1とするなら、妻が725万円、子供がそれぞれ362.5万円を負担します。妻が相続する場合、1億6,000万円までであれば、相続税は非課税です。例えば、妻がすべて相続するなら、相続税の負担はありません。

ほかに、各人が負担する相続税の金額は、条件によって加減されることがあります。例えば、法定相続人が未成年者や障がい者である場合や、今回の相続の対象になる被相続人が、亡くなる前10年以内にほかの人の相続などにより遺産を相続し、相続税が課されていた場合などには、税負担が軽減されます。逆に、被相続人の1親等の血族・配偶者以外の人が遺産を相続する場合には、税額が20%加算されます。

このように、相続税はまず遺産の総額を確定する、遺産に応じた相続税額を計算する、税額を遺産の相続割合に応じて配分し、加減の調整を行うことで確定します。実際に相続が発生したときや、自身のケースで税額がいくらになるのかなどは、専門家に確認しましょう。

筆者プロフィール:加藤梨里
ファイナンシャルプランナー(CFP)、慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科 特任助教
保険会社、信託銀行を経て、ファイナンシャルプランナー会社にてマネーのご相談、セミナー講師などを経験。2014年に独立し「マネーステップオフィス」を設立。専門は保険、ライフプラン、節約、資産運用など。大学では健康増進について研究活動を行っており、認知症予防、介護予防の観点からのライフプランの考え方、健康管理を兼ねた家計管理、健康経営に関わるコンサルティングも行う。