ドラマコーナー

2016年10月クールに放送された天海祐希主演『Chef~三ツ星の給食~』で登場した「フレンチ屋台」がお出迎え。天海演じる三ツ星シェフ・星野光子の手作りという設定のため、あえてプロに発注せず、デザイナーが作ることで"素人っぽさ"を出した。屋根の部分に微妙なズレが生じるなど、細かい点でリアル感を見せている。

『Chef』のデザイナーはとにかく全部自分で作ってしまう主義。最終回で登場したコスプレキャラクター「給食戦隊完食レンジャー」の衣装・小道具も手作りで、ここでも"素人っぽさ"を演出している。

給食室のテーブルは、実物の給食室を取材した際、多くの生徒からの貼り紙や手紙があったことから、タイルに卒業生が感謝の気持ちで絵を描いたという設定。同作に出演した子役も描いている。


こちらも16年10月クールに放送された月9『カインとアベル』のセット。主演のHey! Say! JUMP・山田涼介演じる優の部屋で、趣味のグッズが多数配置されている。この部屋に限らず、ドラマのセットに窓が多いのは、照明の明るさで登場人物の心理状態を表現する狙いがあるそうだ。

劇中で登場した「アウトレットモール完成予想図」を描くのもデザイナーの仕事。

その他『カインとアベル』の小道具たち


今年4月で30周年を迎える「月9」の歴史を振り返るコーナーも。近年の作品は、台本や小道具も展示されている。

『恋仲』で葵(福士蒼汰)が「100年続く家」のプレゼンで実際に使用したイメージ模型

『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』で音(有村架純)が大事にしていた桃の缶詰

『好きな人がいること』で美咲(桐谷美玲)がしたためたレシピノート

現在放送中の『突然ですが、明日結婚します』で名波竜(山村隆太)があすか(西内まりや)に誕生日プレゼントとして渡したキャンディー。


放送35周年を迎えたドラマ『北の国から』のコーナーも。一部セット・小道具は3月7日から展示される。




フジテレビの美術デザインチームは、他局と違ってバラエティとドラマの担当が明確に分けられていないのが特徴。それによって、『ライアーゲーム』のような非現実的空間が求められるドラマのセットが実現した例もある。

また、ドラマで演者がセット初めてに入る瞬間は、それまで台本の上だけで思い描いていた自身の役柄を、一気に実感できるタイミング。同時に、キャスト・スタッフ全員が、そのキャラクターを具体的に共有できる瞬間にもなるそうで、セットのビジュアルが重要な役割を果たしている。

それはドラマに限らず、例えばバラエティや音楽番組でも同じ。ある歌手の歌収録の際、一度グリーンバックによるCG演出で画作りをしたが、何もない空間で歌うのはテンションを下げてしまうため、セットに囲まれて歌うことにこだわる人もいるそうだ。

バラエティ担当時のデザイナーのデスク(左)とドラマ担当時のデスクのイメージ。やはりバラエティは非現実的なものを、ドラマはリアルなものを追求しているのが分かる。