軽井沢の夏と言えば、どこへ行っても大混雑するもの。しかし、冬は著名な観光スポットでも嘘のように空いているため、筆者は断然、冬をオススメしたい。そこで今回、軽井沢を代表する三大観光スポットと温泉を1日で満喫する、夏には到底実現不可能なモデルコースを紹介しよう。

新年の飾り付けが施された中軽井沢のハルニレテラス

中軽井沢で朝食&深みのある1杯を

まずは、中軽井沢エリアからスタート。冬の軽井沢で真っ先に訪れたいのが「ハルニレテラス」だ。星野リゾート関連施設が集中した「軽井沢星野エリア」の中心施設である。夏は駐車場が常時満車で、遠くの駐車場に停めた上で送迎バスを利用する必要があるが、冬のオフシーズンは隣接する駐車場を利用して快適にアクセスできる。

最初は、早朝から営業しているベーカリー「沢村」で朝食を。天然酵母を時間をかけて発酵させたパンは、旨みと味わいが深く大満足できる。

朝食後は、遅れてオープンする「カフェ&ブックス 丸山珈琲 ハルニレテラス店」へ。紅茶でよく見る「フレンチプレス」を使用したコーヒーが特徴の、軽井沢を代表する喫茶店だ。コーヒー豆の油分まで抽出するので、素材本来のおいしさを余すところなく楽しめる上に、量もコーヒーカップ2杯分あってお得感満載だ。

「フレンチプレス」が特徴の丸山珈琲はケーキも美味。冬季限定ブレンドの「ダイヤモンド・ダスト(深煎り)」(税込596円)。ケーキは手前が「キャラメルサレ」、右奥がブルーベリー味の「クーシュ」(いずれも税込480円)

コーヒーの種類が非常に多く、「今まで聞いたことがないな」という品種のコーヒーも多いことだろう。メニューに書き添えられた味の詳細説明を参考に、自分の好みに近そうな品種を選んでいただきたい。また、メニュー表には「旬のシングルコーヒー」(税込741円)や「季節のブレンド」(税込596円~)というコーナーもある。せっかく冬に来ているのだから、通年販売の商品ではなく季節感のあるコーヒーを選ぶのもオススメ。ケーキもおいしいのはもちろん、コーヒーと交互に飲食しても、どちらの味も邪魔しないのはさすがだ。

●information
ハルニレテラス
住所: 長野県北佐久郡軽井沢町長倉星野
アクセス: JR軽井沢駅南口より無料シャトルバスあり(中軽井沢駅行き無料シャトルバスは冬季運休)

日帰り温泉で温泉三昧

中軽井沢には温泉が多く、星野温泉、塩壺温泉、プリンスホテル系列の千ヶ滝温泉がある。いずれも源泉かけ流しの本格的な温泉で、中軽井沢はまさに温泉地だ。

中でも星野温泉は、星野リゾートを代表する高級宿「星のや」にも引かれている温泉。「星のや」は宿泊者専用だが、隣接する日帰り施設「トンボの湯」で気軽に入浴できる。ハルニレテラスから少し離れており、散策して行くことも可能だが、冬は寒いので「村民食堂」横の駐車場に車を停めなおそう。

「星野温泉 トンボの湯」は気軽に利用できる日帰り入浴施設

あまり知られていないが、トンボの湯は当日4時間以内なら再入場も可能だ。入浴後に村民食堂やハルニレテラスでランチを食べ、再度入浴という温泉三昧もいい。詳細はトンボの湯受付カウンターで確認しよう。なお、大みそかのハルニレテラスは深夜まで営業をしており、トンボの湯も元旦の未明に"初湯"を実施している。

●information
星野温泉 トンボの湯
住所: 長野県北佐久郡軽井沢町長倉2148
アクセス: JR軽井沢駅南口より無料シャトルバスあり(中軽井沢駅行き無料シャトルバスは冬季運休)

バーゲン中の今がチャンス!

今度は軽井沢駅周辺のオススメ観光スポットを紹介。南口の駅前にある「軽井沢・プリンスショッピングプラザ」は、夏には広大な駐車場が常時満車状態になる非常に人気が高い観光スポットだが、冬なら中軽井沢を存分に満喫してから行っても、問題なくスムーズに利用できる。

プリンスショッピングプラザは屋外通路が多く、防寒着は必須

近年、観光地にアウトレット・モールが増えたが、アウトレットとは本来、売れ残り商品を安く売り尽くす店であり、色や柄やサイズが偏っている場合が多い。プリンスショッピングプラザは通常のショッピング・モールなので、豊富な色や柄やサイズから自分に合った商品を探せるのが魅力だ。

冬のオフシーズンにはバーゲン・セールを実施しており、掘り出しものが見つかる可能性が高い。夜にはライトアップやイルミネーションを実施するので、日没までショッピングを満喫しよう。

●information
軽井沢・プリンスショッピングプラザ
住所: 長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢
アクセス: JR軽井沢駅南口から徒歩3分
駐車場:約3,500台

ジョン・レノンが愛したロイヤルミルクティーを

最後に紹介する「軽井沢 万平ホテル」は、JR軽井沢駅からタクシー5分ほど。箱根の富士屋ホテル、日光の金谷ホテルと合わせて、"日本三大クラシックホテル"や"御三家"とも呼ばれる日本を代表するホテルだ。ジョン・レノンが愛用したことでも知られている。さらに、スタジオ・ジブリのアニメ映画『風立ちぬ』に登場する「草軽ホテル」のモデルでもあり、小説『風立ちぬ』の著者・堀辰雄も滞在したホテルでもある。

ジョン・レノンも愛用した「軽井沢 万平ホテル」

喫茶室「カフェテラス」の「ロイヤルミルクティー」(830円サ別・税別)は、メニューに「ジョン・レノン直伝」と明記。ジョンが作り方まで教えてメニューに加わった経緯もあり、夏には大行列ができるが、冬なら並ぶことなく味わえる。高級ホテルなので敷居が高いが、夏は宿泊料金がさらに高騰するので、やはり泊まるなら冬がベスト。本館アルプス館の風情が再現されている、ウスイ館クラシックタイプがオススメだ。

クラシックホテルのレストランと言うと、歴史と伝統を重視し過ぎた料理の盛り付けや味に陥ることも少なくない。しかし、万平ホテルの料理は盛り付けも美しく、味も極めて美味。写真はディナーの前菜だが、食後のバーや朝食にもこだわりが感じられ、グルメな人にも自信を持ってオススメしたいホテルだ。

クラシック・ホテルだが、料理は極めて現代的なフレンチ。写真はディナーコース「くつろぎ」(9,000円)の前菜。他に「至福」(1万500円)、「クラシックディナー」 (1万5,000円)の3コースがある(いずれもサ別・税別)

宿泊するなら「バー」もオススメ。特に、オリジナルカクテル(1,300円サ別・税別)が絶品だ。ジンやウォッカ、ブランデーなど、ベースとなる酒ごとにオリジナルカクテルがあるので、自分の好きな酒をオーダーしよう。あまりの旨さに絶句し、世界中の賓客をもてなしてきたホテルの歴史と伝統を味で痛感するに違いない。

観光名所の旧軽銀座も徒歩圏内。朝食後にジョンレノン愛用の「フランスベーカリー」や向かいの「ブランジェ浅野屋」など、著名なパン屋まで散策し、昼食用のパンを購入してからチェックアウトしよう。

●information
軽井沢 万平ホテル
住所: 長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢925
アクセス: JR軽井沢駅からタクシー約5分(路線バス「赤バス」見晴台線は冬季運休)

軽井沢を代表する観光地と温泉を一日で満喫するコース、いかがだっただろうか。夏には一カ所行くのも大変な人気スポットばかりだが、冬は余裕で楽しめる。まさに「冬こそ軽井沢」である。この時期だけ可能な軽井沢満喫の旅に、ぜひ出掛けてみてほしい。

筆者プロフィール: 藤田聡

温泉研究家、オールアバウト「温泉」「紅葉スポット」ガイド。温泉旅行検定試験で2年連続日本一になり、検定協会から「温泉旅行博士」の称号を授与される。温泉地を中心に周辺観光地の取材・撮影を行い、海外旅行にも決して負けない、国内旅行の奥深い魅力をメディアで発信中。紅葉や一本桜、夜景や四季の花などの絶景スポットにも精通している。