JR北海道は9日、長期運休が続く日高本線鵡川~様似間について、一連の台風被害の復旧に必要な費用が48億円にのぼるとの試算を公表した。台風以前に被災した箇所の復旧や防災対策・老朽対策にかかる費用を加えると、運行再開には少なくとも139億円が必要となる。

日高本線は現在、苫小牧~鵡川間のみ運行される

日高本線は昨年1月と9月に発生した高波により、線路脇の盛土や線路下の土砂が流出するなどの被害を受け、全線の8割に相当する鵡川~様似間で運休が続く。これらの被災箇所の復旧にかかる費用と運転再開に必要な最小限の防災対策の総額は38億円と試算されていた。

この夏に連続して北海道を襲った台風で被害はさらに拡大し、橋りょうや路盤の流出、線路脇の護岸倒壊などが発生。被災箇所の調査はまだ完了していないが、現時点で把握している被災箇所だけで48億円の復旧費などが必要になると試算した。内訳は、台風7・9・11号による被災箇所の復旧費が2億円、台風10号による被災箇所の復旧費が17億円、厚賀~大狩部間の防災対策強化が29億円。

運行再開には、これらに加えて今後おおむね10年間の安全な運行を確保するための最小限の防災対策費と、土木構造物の老朽対策費として53億円が必要になる見込み。JR北海道はさらに、復旧費とは別に海岸浸食対策として離岸堤の整備が必要になるとの見解を提示し、「JR北海道単独では、抜本的な海岸保全に係る費用を負担することは、極めて困難であります」と述べ、運転再開には北海道や沿線自治体の費用負担が不可欠との見方を示した。

日高本線に関しては、JR北海道が路線維持に必要な費用の一部を沿線自治体に負担してもらう案を提示し、これを自治体側が拒否したと北海道新聞が8日に報道している。