JR北海道はこのほど、日高本線厚賀~大狩部間で約13mにわたって線路脇の盛土が流出していたと発表した。この影響で、日高本線は鵡川~様似間で終日運転見合わせとなり、バスによる代行輸送を実施している。

日高本線厚賀~大狩部間の盛土流出状況(写真左)と、緊急措置として大型土のうを積み上げた状況(同右)。2枚ともJR北海道提供

同社の発表によると、1月8日8時46分頃、スーパーカートで線路巡回をしていた保線係員が海側の盛土流出を発見した。低気圧にともなう波浪の影響で、護岸コンクリートの下部に設置していた鉄板の一部が損壊したことが原因とみられるが、詳細は調査中とのこと。流出した土砂はおよそ100平方メートルにのぼるという。日高本線は当時、波浪による線路災害を懸念して全線で運転を中止していたため、土砂流出による列車事故はなかった。

今回損壊した鉄板は2006年に整備したものだという。昨年5月に護岸工と盛土の通常全般検査を実施しており、今年に入ってから1月5日に列車巡回、1月7日に線路巡回を実施したが、いずれも異状は認められなかったとしている。現在は緊急措置として盛土流出箇所に大型土のう110袋を設置し、さらなる土砂の流出を防いでいる。

ただ、当該箇所では過去3度(2006年1月と2月、2012年11月)にわたって今回と同様の土砂流出が発生しているため、同社は現状のまま復旧工事を行っても再び土砂流出が繰り返される恐れがあると判断。「運転再開に向けた対策工事は鉄道総合技術研究所へのコンサルティング依頼などにより検討を行う必要があることから時間を要する」(JR北海道)としている。

鵡川~様似間のバス代行輸送は、当面の運行として1月19日までの運行計画が発表済み。コンサルティングによる現地調査を経て、検討結果が出るまでにおおむね1カ月かかると見られ、列車運転再開までにはさらに日数を要することから、1月20日以降も引き続きバス代行輸送を実施する予定だ。