日産も規模を手に入れた

日産のカルロス・ゴーン社長は三菱自に34%を出資し、三菱自を傘下に収めたことで「ルノー・日産連合に三菱自を加えて世界販売1,000万台規模となる」と胸を張った。トヨタや独フォルクスワーゲン(VW)、米GMの「世界販売1,000万台クラブ」に対抗できるルノー・日産・三菱自連合をゴーン社長は手に入れたのだ。

21世紀初頭の世界自動車大再編では「400万台クラブ」で世界400万台規模を持たないと生き残れないと言われた。これは根拠のない数字だったが、ある程度の規模がないと、環境対応のエコカー(電動車)開発への先行巨額投資ができないからというのが理由とされていた。

今では、これが1,000万台クラブということになるが、ゴーン日産社長も「規模拡大が第一ではなく、グループ間シナジーを最大限生かすことだ」とし、1,000万という数字にこだわっているわけではないという考えを示している。

 ホンダの2015年の世界販売は464万台。世界自動車メーカーとして7位にランクされる。伊東前社長体制で「4輪車世界600万台体制確立」を狙ったが、世界6極による現状の生産能力年570万台規模に対して需給ギャップが生じている。

また、昨年、伊東体制から代わった八郷隆弘社長は“調整型”で、「拡大構成路線を見直し、チームホンダでホンダらしさを改めて打ち出す」方針を掲げている。前期決算までは、度重なるリコール問題やタカタのエアバッグ問題で品質費用が巨額となり、業績が低迷。同業他社が軒並み最高益を計上する中で大幅な減益となり、「ホンダの独り負け」と揶揄される流れだった。

ようやくホンダが反転攻勢の気配

「元気のないホンダ」とか「ホンダがヘンだ」との見方が大勢を占めるなかで、同社は今期からようやく反転攻勢への気配を示している。先頃のホンダの今期中間連結決算発表では、今年4~9月の営業利益が前年同期比22.5%増の4,949億円となった。円高の影響があったものの、日本、北米、中国などで新型車が好調で、コストダウン効果もあり大幅な増益となった。

2016年度通期見通しは、営業利益が29.1%増の6,500億円を見込み、前回予想から500億円上方修正している。各社が円高で大幅減益となる中、ホンダは為替差損を吸収する形で増益に転じている。これには品質費用の引当てが前期までにほぼ済んだことも影響している。

米国や中国では新型シビックなどの好調が販売。米国生産の新型NSXを復活させ、国内でも新型フリードを投入するなど、八郷体制発足から1年を経過してようやくホンダの反転攻勢が描かれてきたのか。

発売後1カ月で累計受注台数が約2万7,000台と好調な新型フリード