病児保育が充実している区は?

働きながら子育てをする親にとって悩ましいのは、子どもの急な発熱。仕事を休める状況であるならいいが、事前に予定がたたないからこそ、調整が難しいこともあるだろう。そんな時に頼れるのが公営・民営の病児・病後児保育だ。

今回は東京23区の自治体が運営している施設や民間サービスを利用した際の助成について調べた。

「病児保育」と「病後児保育」の違いは?

まず注意したいのは、「病児保育」と「病後児保育」の違いだ。それぞれの言葉の定義は自治体によって多少の違いがあり、子どもを預けられるかどうかにも関わってくるので、できれば事前に確認しておきたい。

参考までに東京都の「病児保育事業実施要領」を見てみると、「病児保育」の対象となるのは「当面症状の急変は認められないが、病気の回復期に至っていないことから集団保育が困難」な児童となる。一方で「病後児保育」は、「病気の回復期であり、集団保育が困難」な児童としている。23区の定義を見渡してみても、病気の症状が快方に向かっているかどうかがひとつの大きな基準になりそうだ。

病児保育の実施状況

23区の対応としては、「病後児保育」については全ての自治体でなんらかの施設を持っている。一方で、「病児保育」は行っていないところが複数あった。

また、利用者の立場で考えると重要なのは預けやすさだ。区内に拠点が少なく、自宅からアクセスの悪い場所にしかなければ利用に困難が伴うだろう。

しかも各施設には、1日の受け入れ人数に上限がある。いくら近くに施設があっても、既に定員に達してしまっていれば、預けることは不可能だ。実際に利用できるかどうかは、保育サービスを利用する子どもの数や、病気の流行期であるかなどの状況次第だが、少なくとも区によって施設数や受け入れ数にかなり幅があることは表を見れば明らかだ。

区で整備する施設が少ない代わりに、ベビーシッターなど民間のサービスを利用した際の費用を助成しているところもあるので、必要であればこうした制度も積極的に活用してほしい。

お迎えサービス付きの病児保育を行う板橋区

このうち板橋区は23区内で唯一、お迎えサービス付きの病児保育を実施している。これは保育園などから子どもの体調不良の連絡があった際に、仕事で帰れない保護者に代わって、病児保育を行う病院から看護師が子どもを迎えに行ってくれるものだ。

その後、病院が子どもの診察を行い、保護者の帰宅まで病児保育室で預かってくれる。かかる費用は1日の病児保育料(1,500円※非課税)のほか、往復のタクシー代のみ。急な対応が難しい保護者にとっては安心なサービスだろう。

また、葛飾区は訪問型の病児保育サービスを行っている。これは区内の3つの保育園を拠点としており、事前登録した利用者の自宅に、園の保育士が出向いて保育を行うものだ。ただし、利用の可否はその日の保育園の運営次第で、実際には1拠点につき1日1人か、せいぜい2人程度しか受け入れられない現状だという。

子どもには体の強い子もいれば弱い子もいるが、1歳前後の保育園に入りたての頃などは、特に発熱が多かったりするもの。入園と同時に、急な体調不良の際に利用できる制度についてもしっかり調べて準備しておくことをお勧めする。

※本記事の内容は、2016年8月時点の情報として自治体から得た回答を盛り込んだものです
※写真と本文は関係ありません