JR西日本が所有し、京都鉄道博物館に収蔵の230形233号機関車が国の重要文化財(美術工芸品)に指定されたことを受け、「鉄道の日」の10月14日、京都鉄道博物館にて「233号機関車重要文化財指定」記念式典・講演会が開催された。

京都鉄道博物館で10月14日、「233号機関車重要文化財指定」記念式典が行われた

230形機関車は国産初の量産型蒸気機関車として、1902(明治35)~1909(明治42)年にかけて製造された。イギリス製のA8形タンク式蒸気機関車をもとに設計され、一部の部品は輸入品であるが、それ以外はすべて国産技術を用いたという。日本の使用条件に合わせるため、数々の工夫も施された。蒸気機関車国産の先鞭をつけた形式の車両であり、鉄道史・産業史などにおいて学術価値を持つ蒸気機関車として高く評価されている。

233号機関車は1903(明治36)年に竣工。おもに山陽本線・山陰本線など西日本を中心に活躍し、高砂工場(兵庫県)で入換用機関車として働いたのを最後に廃車となった。1962(昭和37)年に開館した交通科学博物館で展示するため、国鉄鷹取工場で復元。2016年4月29日からは、新たにオープンした京都鉄道博物館の目玉のひとつとして展示されている。

51両製造された230形機関車の中でも、233号機関車が最も保存状態が良好であった。そのため、文化庁文化審議会の答申(2016年3月11日)を受け、8月17日に重要文化財(美術工芸品)に指定された。JR西日本所有のものが指定されるのは梅小路蒸気機関車庫(2004年12月指定、建造物)に次いで2例目、同社所有の車両では初の重要文化財指定となった。

233号機関車は現存する最古の量産型国産蒸気機関車だという

記念式典は本館1階、233号機関車の前で行われ、JR西日本代表取締役社長の来島達夫氏、文化庁文化財部長の藤江陽子氏、京都市長の門川大作氏らが出席した。

来島氏は挨拶の中で、233号機関車が国内で初めて生産された機関車の代表としての産業遺産の価値を強調。JR西日本が所有する車両の中で初の重要文化財の指定を受け、「大変うれしく思います」と述べた。藤江氏は233号機関車が日本の近代化に貢献した功績を讃え、京都鉄道博物館で先に重要文化財に指定された梅小路機関車庫にも触れた。門川氏は、京都における鉄道をはじめとする公共交通機関優先の姿勢を前面に打ち出した。主催者挨拶・来賓祝辞の後、登壇者および京都鉄道博物館公式キャラクター「ウメテツ」らにより、233号機関車の前に設置された記念プレートの除幕式が行われた。

記念式典では文化庁文化財部長の藤江陽子氏(写真左)、京都市長の門川大作氏(同右)が祝辞を述べた

233号機関車の重要文化財指定を記念したプレートも設置され、記念式典にて除幕式も行われた

記念式典が行われた当日は「鉄道の日」ということもあり、団体客を中心に多くの来場者が京都鉄道博物館を訪れた。鉄道ファンを中心に来場者も記念式典を観覧し、思い思いに233号機関車の写真を撮影していた。同日午後には、有識者による233号機関車に関する記念講演会も行われた。230形233号機関車は京都鉄道博物館の本館1階に展示されており、現存する最古の量産型国産蒸気機関車の勇姿を見ることができる。