奥宮を目指して

奥宮の遙拝殿からの眺望は素晴らしく、奥宮の祀られている妙法ヶ岳が谷の向こうに望むことができるほか、下界が一望でき、日によっては見事な雲海も見ることができる。

遙拝殿より。ラクダのコブのように膨らんだところが、奥宮が祀られている妙法ヶ岳だ

奥宮への参道入口は駐車場付近にある。この先は本格的な登山道なので、トレッキングシューズや登山ストック(杖)、飲料水などの装備が必須だ。また、三峯周辺の山にはツキノワグマも生息しているので、鈴やラジオなど音の出るものを必ず携帯しよう。

奥宮への道は本格的な登山道だ

山道を行くこと20分ほどで、奥宮方面への道と、東京・埼玉・山梨県境にそびえる雲取山への登山道が分岐する。ちなみに"三峯"の名は、神社から見える妙法ヶ岳・雲取山・白岩山の3つの峯が美しく連なる姿に由来するという。

登山道入口から1時間ほどで、妙法ヶ岳の頂上の直下に到着。ここから急な石段と鎖場を登らなければならないのが、最後の難関だ。額に汗をかきながら頂上にたどり着くと、小さな社が祀られている。登山中に次第に天候が変わり雲が増えてきたために、周囲を見渡すと雲海の上にわずかに顔を出す、いくつかの山の頂が見えるばかりだった。晴天であれば、ここからの景色はさぞや素晴らしいものなのだろうと思う。

奥宮からの眺望。雲海の上に顔を出す峰々

毎月朔日のみに授与されるレアなお守り

最後に、三峯神社のお守りについて記しておこう。同神社を訪れたなら、三峯山の霊気が染みこんだご神木のお守り「氣守」を授かりたいが、中でも白い氣守は毎月朔日(ついたち)にのみ授与され、大変な人気だという。白は一般に清浄や太陽を表す色とされているが、もちろん日本武尊を導いた白いオオカミにもちなんでいる。このレアなお守りは、苦労してもぜひとも手に入れたいものだ。

白い「氣守」は毎月朔日のみしか手に入らない(写真提供: 三峯神社)

●information
三峯神社
住所: 埼玉県秩父市三峰298-1
興雲閣宿泊料金: 1泊2食付き 10畳部屋税込1万1,000円/人、25畳部屋税込1万円/人
※温泉は日帰り入用も可

さて、奥秩父の三峯神社の旅、いかがだっただろうか。山の霊気に満ちた古代から続く信仰の場は、間違いなくパワースポットだった。この場にいるだけで新たな活力をいただき、リフレッシュできたように思う。都心から車で片道3時間、日帰りではやはり忙しないので、温泉に浸かりながらの一泊旅行をオススメしたい。

※記事中の価格・情報は2016年9月取材時のもの

筆者プロフィール: 森川 孝郎(もりかわ たかお)

旅行コラムニスト、オールアバウト公式国内旅行ガイド。京都・奈良・鎌倉など歴史ある街を中心に取材・撮影を行い、「楽しいだけではなく上質な旅の情報」をメディアにて発信。観光庁が中心となって行っている外国人旅行者の訪日促進活動「ビジット・ジャパン・キャンペーン」の公式サイトにも寄稿している。鎌倉の観光情報は、自身で運営する「鎌倉紀行」で更新。