――歯磨きをしすぎること、しなさすぎることのデメリットは?

誤った方法での歯磨きをしすぎた場合、デメリットも生じ得ます。例えば、強い力でゴシゴシと長時間、または1日に何度も歯磨きをする、その際に研磨剤が含有されている歯磨き粉を使用して電動歯ブラシで磨くといった習慣には要注意。歯の表面のエナメル質が摩耗してしまったり、そこから歯がしみるようになったりすることも考えられます。

歯磨きをしなさすぎるケースでは、要は、菌の活動性が上がります。むし歯菌が増えると、むし歯になりやすくなり、歯周病菌が増加すると歯周病が進行します。また、それだけにとどまらず、肺炎や心内膜炎、妊婦さんであれば早産や低体重児の出生リスクも上がります。つまり、全身的な疾患とつながるリスクが、一番気をつけなければいけないことでしょう。

――シュガーレスのタブレットやガムでケアしていれば、歯磨きはしなくてもいいですか?

シュガーレスのタブレットは清涼感を味わうためのものなので、一時的にスッキリするかもしれませんが、歯磨きの効果は皆無です。

一方でシュガーレスのガムには、噛むことで唾液の分泌を促進したり、食渣(食後に口の中に残った食べカス)を洗い流し、色素沈着を防いだりといった効果もあります。歯磨きに類似したような効果もゼロではないですが、歯磨きに取って代わるほどの効果はありません。歯磨きとこれらの食品とは、全く別のものとして捉えるべきでしょう。

――親知らずを抜くと小顔になりますか?

歯は顎の骨に埋まっていますが、その中でも歯槽骨という骨の中に生えています。抜歯をすると、多少なりとも骨の形は変化します。歯があったところの空洞(抜歯窩)は、歯槽骨の一番高いところの骨が多少吸収を起こし、治癒していきます。ただ、顔の輪郭が変化するほどの吸収は起こしませんので、親知らずの歯を抜いても小顔にはなりにくいかと思います。

※画像と本文は関係ありません

取材協力: 能美陽子(ノウミ・ヨウコ)

歯科医。En女医会所属。

En女医会とは
150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。