「クチャラー」ってどういう意味?

食事中の"クチャクチャ音"の原因は?

"クチャラー"という言葉をご存じでしょうか? 食事中にクチャクチャと音を立てて食べる習慣がある方たちへの俗語として呼ばれるようになったそうです。

幼少期に「下品だから、音を立てて食べたり飲んだりしてはいけませんよ」と親に言われた記憶がある方も多いかと思います。食事のマナーにおいて、他人に不快感を与えないように配慮するのは躾(しつけ)の一つとして必要なことでしょう。

ただ、わかっていてもできない方がいらっしゃいます。ここでは、無意識に音を立てて食べる習慣がついている方や、周りにいるクチャラーさんに困っている方へ、少しでもお役に立てるお話ができればと思います。

クチャラーが嫌いな人は8割弱

実際、このクチャラーのせいでどれぐらいの人が不快な想いを抱いているのでしょうか。マイナビニュース会員203名にアンケートを実施したところ、クチャラーという言葉を知っている人は57名(28.1%)にとどまりました。続いて、その57名に「クチャラー」のことが嫌いどうかを聞いたところ、44名(77.2%)が「嫌い」と回答しました。

「クチャラー」のことは嫌いですか?

クチャラーが嫌われてしまう理由

「クチャラー」にまつわるエピソードもあわせて聞いてみたところ、以下のような回答が集まりました。

「近くでいい年のおじさんが口を開けて、クチャクチャと音を立てながら物を食べていた時は、閉口しました」(60代男性/通信関連/IT関連技術職)

「上司とご飯に行ったとき、くちゃくちゃ音を立てる上に、口の端から食べ物が出るので幻滅した」(20代女性/フードビジネス(総合)/その他)

「朝静かな喫茶店でゆっくりコーヒーを飲んでいたら、クチャクチャ音を出して食べている人がいて幻滅した」(40代女性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)

「父親がクチャラーでした。一緒に食事するとおいしいものもおいしいと感じなくなるほど不快です」(40代女性/サービス(その他)/事務・企画・経営関連)

「おいしい物すらおいしいと感じなくなる」という辛辣(しんらつ)な意見が出るほど、クチャクチャする咀嚼恩に不快感を示している人が見受けられました。クチャラーの認知度こそまだ低いものの、今回を結果を踏まえると潜在的にクチャラーを嫌っている人が非常に多いことがうかがえます。

なぜクチャラーになってしまうのか

食べ物を噛(か)み砕くときに発生する音のことを「咀嚼(そしゃく)音」と言います。咀嚼音が気になる原因として、次の3つが考えられます。

1.噛み合わせ
前歯が出ている方や下の歯が出ている方は、咀嚼時に唇が閉じられずに開いてしまう方が多く、食事中に咀嚼音が漏れやすくなってしまいます。

2.口呼吸
鼻炎などで鼻が詰まっていて鼻呼吸がしづらい方は、口呼吸になってしまいます。また、「口輪筋」と呼ばれる口周りの筋肉の力が弱く、普段から口呼吸になってしまう方も。この場合も同じように鼻呼吸がしづらいため、食事中も食べながら呼吸を行わざるを得なくなり、その結果、口を開けて食事をする傾向にあります。

また、幼少期からの長期にわたる指吸癖などが原因で舌の位置が低くなってしまっている方や、舌の付け根のヒダが短いために舌の動きが制限されてしまっている方などは、舌の動かし方が前後運動になる傾向にあり、咀嚼音が出やすいとも言われています。

3.食べ方
3つ目は、幼少期からの癖で、口を開けながら食べる習慣が残ってしまっているケースです。奥歯で噛まずに前歯で噛もうとする方や、一度に多くの食べ物を口に入れて食事をしようとする方は、どうしても音が出ることに対しての"慣れ"があり、他人から指摘を受けないと、なかなか改善しようという意識には至らないことも多いでしょう。

クチャラーを治す方法

続いて、「噛み合わせ」「口呼吸」「食べ方」の3つの原因に応じた対策について解説します。

1.噛み合わせの改善
噛み合わせは、矯正治療によってある程度の改善が期待できます。歯並びが改善することで唇を閉じやすくなり、噛みやすくなれば正常な咀嚼運動に導くことも可能でしょう。ただし、重度の歯周病などで矯正ができないケースもあります。

2.口呼吸の改善
口呼吸の原因には、鼻呼吸ができない場合、口輪筋が弱い場合、舌の動きに問題がある場合の3つがあります。

■鼻呼吸ができない場合
鼻呼吸ができない場合は、耳鼻科で原因を探すことから始めるのが良いでしょう。アレルギー性鼻炎や副鼻腔(びくう)炎など、鼻の病気にもいろいろな種類があります。日常生活に特に支障がないからと放置して慢性化しているケースも多いです。また、副鼻腔炎には鼻が原因の場合のほかに、歯が原因の場合などもあります。軽視せずに、治療を進めるのが賢明でしょう。

■口輪筋が弱い場合
口輪筋が弱い場合は、「リップトレーニング」という方法があります。大きめのボタンなどに糸をくくりつけ、ボタンを唇と前歯の間(歯の前)に挟み込み、口を閉じながら糸だけ外に出し、ボタンが唇から飛び出す寸前の加減で糸を手前に引っ張ります。ボタンを引っ張る力に対し、唇の力だけで抵抗するという仕組みです。

このトレーニングは、口輪筋は筋肉なので、筋トレをするように1日に何度か口輪筋を鍛えるという考え方に基いています。お風呂に入りながら、テレビを見ながらと、すき間時間に工夫して挑戦してみてください。

■舌の動きに問題がある場合
最後に、舌の動きも大切です。舌小帯という舌の付け根にあるヒダが短い場合は、レーザーなどでヒダを切除し長く伸ばす方法などもあります。そうすることで、舌の可動性が上がり、理想的な舌の位置や動きを得ることが期待できます。

このほか舌のトレーニングでは、"あいうべ体操"といって、「あー」「いー」「うー」「べー」という発音にあわせて口を大きく動かす方法もあります。舌も筋肉で構成されているので、しかるべき方法で鍛えることで正常な動きを期待するという仕組みです。

3.食べ方の改善
食べ方を改善するには、まずは意識をすることです。背筋を伸ばして、美しい姿勢で食事をとること。ふと気がつくと肘をテーブルについていませんか? 麺類を食べるときに、食器に自分が近づいていってはいませんか? こうした周りの目線を意識したマナーを心がければ、咀嚼音を立てる習慣をはじめ、口いっぱいに頰張ったり、食べながら話したりといった習慣もなくなるでしょう。無意識の癖を直すのは至難の業。ただし意識改革がきちんとできれば、あとは実践し、続けることができるはずです。

食事マナーにおいて一番難しいのは、誰かにその必要性を説くことだと思います。子供への教育として実践することや、隣の誰かに理解を求め実践してもらうこと、これが何より難しいでしょう。快適で楽しい食事の時間になるように、皆でサポートし合えると良いですね。

※画像と本文は関係ありません

執筆者: 能美陽子(ノウミ・ヨウコ)

歯科医。En女医会所属。

En女医会とは
150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。