日本在住の外国人は、近隣の日本人をどう思ってる?

実家から出た若者は、アパートやマンションなど、いわゆる集合住宅に住んでいることがほとんどだろう。しかし、すぐ隣に人の名前も知らないし、会話なんてしたこともないなんてことも多いのではないだろうか。実家にいたときに近所付き合いを楽しんでいた人にとっては、それはとても違和感を覚えるものかもしれない。

それでは、さらに環境も考え方も異なる海外から来た人に、日本の近所付き合いはどのように映っているのだろうか。実際に住んでみて思った「近隣の人との付き合いやすさ」を、日本在住の外国人20人に聞いてみた。

Q. 近隣の日本人は付き合いやすい人ですか? 付き合いにくい人ですか? 印象的なエピソードがあれば教えてください

付き合いやすい

・「付き合いやすいです。お互いに料理を贈ったりします」(インドネシア/40代前半/女性)

・「私の住んでいるところ(白楽)は人付き合いしやすいです。すぐに友達ができる街です。月1回やっている『ヤミ市』というフェスティバルに行くと、必ず知っている人々と偶然に遭います」(アメリカ/30代前半/女性)

付き合いにくい

・「気遣い過ぎて、付き合い悪いと感じます。出っ張った木を切るときとか、お葬式とか」(タイ/30代前半/男性)

・「付き合いにくい人です」(ベトナム/20代後半/男性)

・「人とあまり話をするのを好まないので、付き合いにくいです」(インド/40代前半/男性)

・「近隣の日本人はとても付き合いにくい人です。ルーマニアの場合、近所の人とお話したり、お互いの家に遊びに行ったり、留守中にペットや子供の世話まで頼めたりします。日本では基本的に会ったときにあいさつをするだけで、それ以外なんの関わりもありません。ですから、トラブルがあると、誰とも相談ができません。私は隣人がうるさいせいで引っ越さないといけなかったのです。そして、引っ越した先でも結局うるさいです。周りの人に対して何の配慮もない人たちが多くて、とてもがっかりです。特に子供を持っている人たちが一番うるさいです」(ルーマニア/30代前半/女性)

・「近隣の日本人は付き合いやすくない人です。あまり話をしたことがなく、あいさつ程度です」(香港/20代後半/女性)

近所付き合いがない・あいさつのみ

・「近隣の日本人と付き合っていませんので、付き合いやすいかどうか分かりません。私が彼らにあいさつをすると、ちゃんと返します」(スペイン/30代前半/女性)

・「今、部屋を借りている状態なので、近くに住んでいる大家さんと必然的に交流はありますが、それ以外の近所付き合いはありません。あいさつはもちろん交わしますが、それ以外なにもないです。一日のほとんどは仕事で家を離れるのが一番の理由かもしれませんが」(イタリア/30代前半/男性)

・「大きいマンションで住んでいるから、ロシアと同じく隣の人とエレベーターでのあいさつしかしない」(ロシア/20代中半/女性)

あいさつのみだけど、好印象

・「昨年12月に引っ越したので、まだ近隣との付き合いはそれほどありません。同じマンションに住んでいる人たちは皆いつも笑顔であいさつをしてくれています」(ウクライナ/30代前半/男性)

・「近隣の日本人は付き合いやすい人です。あいさつ程度なので、印象的なエピソードがありません」(中国/30代中半/男性)

・「付き合いやすい人。あいさつもしっかり交わせる相手」(パラグアイ/30代前半/女性)

付き合いやすいが、本音と建前に戸惑う

・「みんなとてもフレンドリーで付き合いやすいが、周りの韓国人は逆にとても無愛想。しかし建前と本音がわからず戸惑ったこともある」(韓国/20代前半/男性)

・「正直に話してくれるので、話しやすいと思います。エピソードは特にないですが、東京の方で人の気持ちをあとで知ったことが多いです」(フランス/30代前半/男性)

年齢・地域などの条件によると思う

・「これは、年齢によるものかなと思います。あと、出会う環境? にもよるんじゃないかな。例えば留学先とか、大学時代だったら、心ももっと開けるし、大学生なら人間関係ももっと展開しやすい環境じゃないかなと。就職して、仕事場での人間関係は、もうそう簡単にはうまくいかないような……。取りあえずそこまで素直な関係にはならないと思います。だから、自分も大学で出会った日本人とは付き合いがよかったけど、現在はもう育児中ですが、あまり付き合いはうまくいかない」(ハンガリー/30代前半/女性)

・「最初は付き合いにくいです。近隣の日本人はあまり話したことはありません。でも田舎の日本人は割と付き合いやすいです。大昔、岡山県の田舎に住んだことがあり、皆さんはとても優しかったです」(フィリピン/40代前半/女性)

・「国に関係なく気が合えば友達になり、合わなければそれで別れると思っていたが、なぜか関西出身の友達が多いような気がする。全体的にみんな付き合いやすいと思うけど、関係をもうちょっと深めることが難しい」(台湾/20代後半/女性)

・「今、都営住宅に住んでいるから、近所の日本人は比較的付き合いやすい老人ばかりです。印象的なエピソードが特にないです」(モンゴル/30代前半/男性)

・「最初は付き合いにくいのですが"輪"にさえ入ればとっても仲良くできます。日本人はなんでも"グループ思想"で表面的に全く関係も共通点もない人とは仲良くなろうとは思わないイメージがあります」(ブラジル/20代後半/男性)

総評

今回のアンケートでは、"付き合いやすい"という回答の中でも、「料理を贈り合う」や「フェスティバルで偶然にも必ず知り合いに会う」という、相当良好な近所付き合いをしている外国人がいた。一方で、「付き合いがないから相談もできない」といった不満を感じている人もいるようだ。

また、「本音と建前に戸惑う」という回答もあった。これは、「外国人が理解しがたい日本人の性質」として、しばしば言われるもののひとつだ。本音と建前は、必ずしも悪いものではなく、その場を丸く収める日本人の知恵のひとつなのだろうが、それをフィーリングで理解できる段階に至っていない人にとっては困惑以外の何ものでもないだろう。

全体として、さらなる酷評を想像していた筆者は、多くが(と言っても回答者の20名に限るが)予想以上に日本の近所付き合いに順応しているように感じた。特に都会では、ご近所との親密度が低いことも多い。しかし、数名の回答のように、あいさつのみの関係でも"付き合いやすい"と感じてくれる場合もあるところを見ると、ちょっとした笑顔だけでも何かしら築けるものはあるのかもしれない。

調査時期: 2016年7月16日~2016年8月15日
調査対象: 日本在住の外国人
調査数: 20名
調査方法: インターネット応募式アンケート

※本文と写真は関係ありません