日本の住まい、外国人から見た問題点は?

私たちが日々を暮らす住環境は、だいたいにおいて「それがフツー」になっているもの。普段、私たちは住宅に設置されている物を「すごくいい」と思ったり、逆に「イマイチ」と感じたりすることもなく過ごしているだろう。しかし、海外旅行をしてみると、ホテルなどで「なんでコレがないんだ」とか、「意味不明なものが備わっている」と思うことも多いはず。

それでは逆に、海外から日本にやってきた人たちは、日本の住環境についてどう思っているのだろうか。今回は、「自国のコレを日本の住まいに導入してほしい」や「こうだったらいいのに」という点を、日本在住の外国人20人に聞いてみた。

Q.「日本の住まいもこうすれば良くなるのに!」という自国の文化があれば教えてください

暖房を充実させてほしい

・「床暖房が完全に普及すればいいです。冬、日本の家はとても寒いです」(フランス/30代前半/男性)

・「強いて言えば、集中暖房装置・セントラルヒーティングがあったらいいです。冬場は暖房に頼るしかないので、母国に比べて非常に寒いと感じます」(イタリア/30代前半/男性)

建物の広さ・構造に異議あり

・「住まいが一般的にもっと広かったらいろいろと便利なのになぁとよく思ったりします」(ウクライナ/30代前半/男性)

・「(エアコンなどが)後付けのような感じです。エアコンにしても、クローゼットにしても部屋を狭く感じさせます。天井がもう少し高ければ窮屈感も感じないはずです。タイは天井が高いのが一般的ですから」(タイ/30代前半/男性)

・「私はマンションに住んでいるので、マンションに対しての意見ですが、日本のマンションの間取りタイプは大半が同じです(長い廊下に両サイドが部屋)。元々狭いのに、廊下の面積がもったいないと思います。もっとバリエーションを増やした方がいいと思います」(中国/30代中半/男性)

・「もちろん、日本の住まいがもうちょっと広かったらいいと思います。あと、冬の季節に対してエアコンだけじゃなくて、暖房があったら最高」(モンゴル/30代前半/男性)

内装に課題があると思う

・「もう少しライティングを柔らかくすればいいと思います。日本に引っ越した時、一番最初にしたのは電球を全部変えることでした(オレンジ色の電球に)」(アメリカ/30代前半/女性)

・「窓を複層ガラスにするべきだと思います。複層ガラスは多くの先進国で使われていて、断熱効果があります。日本の家は夏は暑すぎるし、冬は寒すぎます。その1つの理由は窓の品質の悪さですので、複層ガラスを導入すれば大分問題の改善ができるし、節電にもつながります。先進国でないルーマニアですらこういったガラスの導入が進んでいるのに、どうして日本で何の対策も取らないのかが分かりません」(ルーマニア/30代前半/女性)

社会環境で気になった

・「もっと人との交流を増やすべき。近所の人とも話したことがないという話をよく聞きますが、正直驚きです」(インド/40代前半/男性)

・「近所とのコミュニケーションが少ない、もっと増やせれば」(ベトナム/20代後半/男性)

・「店が閉まるのが早すぎる。もうちょっとやってくれればいいとは思う」(韓国/20代前半/男性)

・「家庭、家族の大切さ。仕事を家族より先に大事にする日本社会はどうしても好きになれない……。家庭持ちの人を『申し訳ない』気分にさせる日本社会、日本の職場システムが間違っていると思う。人が仕事のために存在するんじゃなくて、仕事が人のために存在しているということが大切だと思います」(ハンガリー/30代前半/女性)

・「日本のゴミの処理はとても不便です。生ゴミは夏でも週に2回しか捨てられなくて、烏が簡単に取れるネットの下に置かれている事がよくあります。スペインでは、生ゴミがメタル(鉄)で作られている街にあるゴミ箱に入れたり、毎日ゴミを拾うトラックが来ます。日本にもそれがあればとてもいいと思います」(スペイン/30代前半/女性)

特に気にならない・むしろいいと思う

・「特にありません」(ブラジル/20代後半/男性)

・「特にないようだ」(台湾/20代後半/女性)

・「特にない」(ロシア/20代中半/女性)

・「日本の住まいは十分いいと思います」(フィリピン/40代前半/女性)

・「特にないです。日本の住まいは比較的狭いですが、日本人は収納が上手なので、逆にそれをまねしたいです」(インドネシア/40代前半/女性)

・「香港では、未だに多くの家庭やレストランでゴミを分別することなく捨てています。家庭のゴミ捨ての際に『ペットボトル』『空き瓶』『空き缶』『生ゴミ』など全てを一緒にゴミ袋に入れて、マンション各階の専用スペースに置くのが一般的であります」(香港/20代後半/女性)

住まいとは関係ないが……

・「音楽を、電車やバスの中で流す。週1程度でダンスをする」(パラグアイ/30代前半/女性)

総評

やはり多く挙げられたのは、家の広さに関する問題点だった。これに関しては、外国人がたびたび意見することでもあり、同じような声を聞いた事がある人も多いだろう。しかし、そのほかにも暖房や照明、さらにはご近所とのコミュニケーションなど、「自国と違う」と思っている点が多く見られた。

きっと多くの日本人は、住まいの環境について「日本はとても進んでいる国」と思っていることだろう。しかし、それぞれの国の「当たり前」の視点から見ると、思いもしない「足りないもの」があるらしい。ところで筆者個人としては、「音楽を交通機関で流す」「ダンスをする」はたまにやってみてもいいのではないかと思う。

調査時期: 2016年7月16日~2016年8月15日
調査対象: 日本在住の外国人
調査数: 20名
調査方法: インターネット応募式アンケート

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