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赤ちゃんがほしいと思ったら、まず考えなくてはならないのがそのタイミングです。いつでも赤ちゃんができやすいわけではないので、そのメカニズムを知ることが大切です。
今回は排卵日と性交渉の関係について、En女医会の産婦人科専門医・船曳美也子先生におうかがいしました。
妊娠したいと思ったら、まず生理周期を確認
ーー基本の生理周期をおさらいさせてください
妊娠したいと思ったら、まず排卵日を知る必要がありますね。排卵日を知るには、生理周期を知る必要があります。
女性の体には、大きくわけて低温期と高温期があります。基礎体温で0.3度上昇していたら高温期と考えてください。
脳下垂体から卵巣へは、常に卵胞刺激ホルモンという信号がリズミカルに送られており、月経が終わるころから卵巣が反応しはじめます。そして、いちばん成長の早い卵胞のみが成長をつづけます。卵胞から出るエストロゲンという女性ホルモンの量が増え、だんだんと子宮の内側が厚くなっていき、妊娠の準備を始める時期に入ります。
月経開始から排卵までは「卵胞期」と呼ばれ、期間にして2週間前後です。
ーーそのあとに排卵が起こるのですか?
そうです。一個の卵胞が十分発育すると、今度は脳下垂体から黄体化ホルモンが分泌され、排卵が起こります。卵胞内の卵子が成熟する時期で、最後に卵巣から腹腔内に出ます。この「排卵期」と呼ばれる期間が2日程あります。
ーー卵子はその後、どのような動きをみせるのでしょうか
排卵した卵子をうまく卵管がひろえると、その後ゆっくりと卵管内を子宮へむかい、途中で精子と出会えば受精するかもしれません。
また、排卵後の卵胞は黄体と呼ばれるものに変化して、大量の黄体ホルモンを分泌します。この黄体ホルモンが子宮の内側の膜を厚く柔らかくして、受精卵がきて着床するのを待機します。ちょうどこの頃に基礎体温が高温期になっています。「黄体期」と呼ばれるこの時期は、約14日間あります。
ーー卵子が受精しなかった場合はどうなりますか?
卵子が受精しなかった場合や受精卵がうまく子宮内膜に着床しなかった場合は、ホルモンが減少し、いらなくなった子宮内膜がはがれおちてきます。これが月経ですね。この時期のことを「月経期」と呼びます。期間は5~7日程度で、月経が終了すると、次回の排卵にむけてまた準備を始めるのです。
次の生理予定日から14日マイナスすれば排卵日がわかる
ーーでは、排卵日はすぐにわかりますか?
そうですね。通常は、排卵が起こってから次の生理までの長さは約14日、と安定しています。
生理の周期が安定していない人は、月経から排卵までの期間、つまり卵が発育して排卵するまでの期間が毎月違っていると考えられます。
生理周期が乱れていない人は、わりとシンプルに、次の生理予定日から14日マイナスすれば排卵日がわかりますね。
ーー生理周期に乱れがある場合にはどうしたらいいのでしょうか?
その場合は、基礎体温をつけるのが基本になりますね。朝目覚めてすぐに婦人体温計で計測して記録します。低温期の最終日から高温期の初日に排卵すると考えられています。低温期の最後に一番体温が下がる日は、はっきりしないことも多いです。また、高温期が7日以下なら排卵していないかもしれません。
ーー基礎体温をつけ始めてすぐに排卵日がわかるようになりますか?
これは人によって違いますが、3カ月位記録をつけ続けると、自分の排卵時期がわかりやすくなりますね。
ーーすぐに排卵日を知ることができる方法もありますか?
あります。市販の排卵検査薬を使うこともできますよ。尿のなかの黄体ホルモンの量を計測することで排卵日を知ることができます。黄体ホルモンの濃度の上昇が始まってから、約36時間後に排卵が起こるので、排卵検査薬を使っていくうちに、だんだん陽性反応が出始め、今日か明日排卵が起きそうだな、と調べることが可能です。
感覚的に排卵日がわかることも
ーー感覚的に排卵日がわかることはあるのでしょうか
あると思います。排卵2~3日前は女性ホルモンが増えるので、のびのある透明なおりものが増えたり、肌のつやがよかったりする、いわゆる「モテ期」です。
また、排卵前後に、チクチクするような腹痛、腰痛といった排卵の痛みを感じることもあります。その程度には個人差がありますが、ひどい場合は子宮内膜症といった病気のこともあります。
また、排卵後の高温期には食欲が増えたり、イライラしたりします。症状が強い時は月経前症候群と呼ばれます。
ーー排卵日がわかったら、妊娠するためにはいつタイミングを持つのがよいでしょう
排卵日当日を含めた、前5~6日間が妊娠しやすい時期です。その間になるべく回数を多くもち、つねに新鮮な精子を卵子と出会わせてあげるほうがよいでしょう。
ーーありがとうございました!
■プロフィール
船曳美也子
1983年 神戸大学文学部心理学科卒業、1991年 兵庫医科大学卒業。産婦人科専門医、認定産業医。肥満医学会会員。医療法人オーク会勤務。不妊治療を中心に現場で多くの女性の悩みに耳を傾け、肥満による不妊と出産のリスク回避のために考案したオーク式ダイエットは一般的なダイエット法としても人気を高める。自らも2度目の結婚で43歳で妊娠、出産という経験を持つ。En女医会にも所属している。