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出産後の母体は、思った以上のダメージを受けています。また、授乳というこれから始まる「大役」に備えて、出産直後は効率的に栄養素をとっておきたいものです。具体的には、どんな栄養素が必要なのでしょうか? エームサービスで管理栄養士をされている西山英子さんに、お話を伺いました。

―出産直後、意識して摂取すべき栄養素について教えて下さい

代表的なものとしては、亜鉛、葉酸などがあります。今回は、亜鉛についてお話ししましょう。

出産でダメージを受けた体の回復には亜鉛が役立つ

―亜鉛とは、どんな栄養素で、摂取するとどんな効果がありますか?

亜鉛は、体を維持していくための酵素の組成に欠かせないミネラルの一種です。細胞分裂、新陳代謝、細胞活性化、育毛などに関係しています。2,000種類以上ある酵素のうち、300種類以上が亜鉛を必要としているんですね。

亜鉛には、ダメージを受けた母体を回復する手助けをする効果があります。新陳代謝や生殖機能の維持に役立つ栄養素だからです。また、抜け毛予防の効果もあるので、「産後ごっそり髪が抜けること」の防止にもなります。

出産後は通常の1.5倍の亜鉛が必要

―亜鉛の必要量と、多く摂取できる食品を教えて下さい

厚生労働省が出した「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によれば、18歳~40歳の"授乳中の"女性が摂取すべき量は11mgです。ちなみに非妊娠時であれば、18歳~40歳の女性の推奨量は8mg。出産後の女性に、非妊娠時の1.5倍の亜鉛が必要なことからも、いかに必要な栄養素なのかがわかりますね。

亜鉛を多く摂取できる食品は、かき、豚レバー、チーズ、桜えび、ごま、アーモンド、くるみなどです。摂取量の目安としては、例えば豚レバー生姜煮だったら30g(亜鉛2.1mg)、6Pチーズだったら1個(0.6mg)、カキフライだったら1個(2.6mg)です。

亜鉛を多く摂取できる簡単レシピ

―亜鉛を多く摂取できるレシピを教えて下さい

納豆和え物がオススメですね。1人分で、亜鉛1.1mgを摂取できます。

・材料
納豆1パック 50g/オクラ 1本/桜えび(乾) 適宜/焼き海苔 適宜/お好みで醤油、からし等

・作り方
材料を全て混ぜて、醤油で味付けするだけ。温かいごはんにのせてどうぞ。

亜鉛を多く摂取できる間食

―亜鉛を多く摂取できる間食を教えて下さい

くるみ、アーモンドなど、ナッツ類に亜鉛は多く含まれているのでオススメですね。それぞれ各10gに亜鉛0.8mgが含まれています。

ちょっとした豆知識を覚えておくことで、出産直後に栄養的に偏らない生活が送れると良いですね。

―ありがとうございました

取材協力

西山英子さん(エームサービス 管理栄養士)。給食事業を受託するエームサービス内の研究・開発部署で、イベントの企画・開発や栄養指導などの業務に携わる。

筆者プロフィール: 楢戸 ひかる(ならと ひかる)

1969年生まれ 大手商社勤務を経てフリーライターへ。HP「主婦er」にて、主婦生活に役立つ情報を発信中。とりわけ、マネーワークショップを主宰することで「家計運営の基盤づくりの啓蒙」に力をいれている。