ポケモン映画最新作となる『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z「ボルケニオンと機巧のマギアナ」』が7月16日に公開される。本作で敵役の大臣ジャービスを演じるのは、シリーズ19作連続出演となる、声優で俳優の山寺宏一。映画の吹き替えでは、ジム・キャリーやブラッド・ピット、エディ・マーフィなどを担当し、アニメでは『新世紀エヴァンゲリオン』の加持リョウジや『カウボーイビバップ』のスパイクなど二枚目から、『アンパンマン』のチーズまで演じるなどそのキャリアは幅広い。今年公開されたアニメ『昭和元禄落語心中』では大ネタ好きの才気あふれる若手落語家・助六役として、難易度の高い落語を披露するなど声優として第一線で活躍し続けるかたわら、俳優、そしてバラエティーでも精力的に活動している。

声優・俳優の山寺宏一 撮影:宮川朋久

山寺は、1997年から続いた朝の情報番組『おはスタ』を今年4月に卒業。司会の座を後進に譲り、これが『おはスタ』卒業後初のポケモン映画出演となる。自身にとって節目となった年に、番組と映画を通してずっと関わり続けてきた同作に対する思いを訊いた。

――『おはスタ』卒業後初のポケモン映画出演ですが、率直な思いをお聞かせください。

『ポケモン』があってこその『おはスタ』だったと思うんですね。『おはスタ』を始めた時も、4月から『ポケモン』のアニメが始まってから10月に『おはスタ』という流れだったので。最初にお話をいただいた際も、「『ポケモン』など『コロコロコミック』にある作品を紹介する番組」と、『ポケモン』がまず最初にある番組だったので、一層共に歩んできた気がします。

録音する際にはもちろん声優として参加しているので、そういう思いはなかったのですが、考えてみると、『おはスタ』を卒業しても映画に出させていただいているというのはありがたい話ですね。来年はわからないですが(笑)。新MCは二人とも声優なので、これからは彼らが出るのか、僕がやるのか……(笑)。映画の収録では、『ポケモン』のメンバーから「『おはスタ』お疲れさま」と言っていただきました。

予告から始まり(山寺は毎年映画の予告ナレーションを担当)、映画の録音をやって、取材を受けて、完成披露があって、初日舞台あいさつを迎えてみんなで「初日お疲れさま」というところまで毎年やるのは『ポケモン』だけなんですね。たくさんのお客さんの前であいさつをさせていただくこと自体がなかなかないことですから、そういったことを毎年やらせていただいていることを幸せに感じます。その一連が終わると「あ、夏だな」と実感が湧く、自分の中の風物詩になっていますね。

――先日「ポケモン総選挙720」総選挙の結果が発表され、山寺さんが演じたミュウが3位に、1位には映画で山寺さんが演じたライオットのパートナーポケモンであるゲッコウガが輝きました。

僕はミュウに一票入れていたんですよ。まさかゲッコウガがここまで人気あるとはびっくりしました。アニメだけではなくて、ゲームも加味しての結果だと思いますが、僕自身、映画では動きやフォルムがかっこいいなと感じました。ミュウも健闘していて、それは最近ポケモンを見たりプレーする若い子たちももちろんですが、第一作の時からずっと応援してくれている人もいるのかなと思うとうれしいですね。

――今回のジャービスをはじめ、過去18作でもさまざまな役を演じておられますが、その声は骨格やビジュアルから思い起こされるものに"合ってる"なと感じます。それはご自身も意識されているのですか?

声質に関しては、自分の演技できる幅の中でそこにぴったり合うのはどんな感じかというのを考えます。それから現場でスタッフの方と話し合っていく中で決まっていきますね。でも、だいたいは台本を読んで、キャラクターの顔を見るとなんとなくこんな感じかなというのは出てくるんですね。そこはあまり理屈では考えていません。

人から「いろんな声を出してますね」って言われることもあるのですが、よく聞いてみると意外と極端に変えていなかったりするんですよ。もちろん、ポケモン映画の中でポケモンをやる時、例えばミュウとルギアでは全然違いますけど(笑)。共演者のバランスを考えて変えることはありますが、かっこいい役とかだと声質はあまり変わらないんですよ。それよりも、キャラクターの性格だったり、その人物がどういう思いを伝えるのかというところが声優の仕事ですから。