洋菓子の町として全国的にも有名な兵庫県・神戸。おいしいお店があちこちにあり、スイーツ好きにはたまらない。今回はスイーツの中でも、おみやげやちょっとした差し入れとして活用しやすい焼菓子にスポットを当ててみる。神戸の中心街にあり、気軽に立ち寄れる洋菓子店を紹介しよう。

神戸の街は焼き菓子の宝庫!(画像は「JIJI」のカップケーキ)

切りたてを食べられる「ユーハイム神戸元町本店」

まずは、神戸を代表する老舗の焼菓子店「ユーハイム」から紹介。創業大正12年(1923)のドイツ洋菓子店で、横浜から移り住んだユーハイム夫妻が開いた店だ。神戸市・元町の元町商店街に、同店の本店がある。

「ユーハイム」の本店は元町商店街にある

ドイツの伝統菓子であるバウムクーヘンは、こちらの代表的な焼菓子。ドイツでは"お菓子の王様"とも呼ばれ、このお菓子を美しく焼き上げてこそ"マイスター(親方)"と呼ばれるのだとか。材料は、卵、砂糖、バター、小麦粉のみ。添加物は一切使っていない。しっとりと弾力のある生地は甘さ控えめで、卵の風味が感じられる。

「ユーハイム」で特におすすめなのが、その場で切りたてを販売する本店限定の「マイスターの手焼きバウム」(100g/454円)だ。また、2階のカフェではドリンク付きの「バウムクーヘンセット」(1,080円)もいただける。

時間があれば、2階のカフェで切りたてを味わおう

●information
ユーハイム神戸元町本店
住所: 兵庫県神戸市中央区元町通1-4-13
営業時間: 10:00~20:00
定休日: 水曜日

銘菓「ゴーフル」の店「神戸風月堂」

「ユーハイム」と同じ元町にあるのが、「神戸風月堂」の元町本店。同店の「ゴーフル」は、神戸を代表する焼菓子として忘れてはならない。聞けば、大正時代、フランスの焼菓子を手本に同社の和菓子職人が作ったのがその始まりだとか。

日本人の好みに合わせたオリジナルの焼菓子として研究を重ね、昭和2年(1927)に発売された「ゴーフル」。サクッとした軽い食感の生地とコクのあるクリームの組み合わせが味わい深く、神戸の銘菓としてよく知られている。

定番は直径15㎝のものだが、直径7.5cmの「プティーゴーフル」もある。「プティーゴーフル」(6枚入り/432円)の缶のデザインは、神戸生まれの版画家・川西祐三郎画伯が描いた「神戸六景」シリーズをはじめ、阪神タイガースを描いたデザインなどバラエティーに富んでいる。

神戸のおみやげの定番「ゴーフル」

●information
神戸風月堂 元町本店
住所: 兵庫県神戸市中央区元町通3-3-10
営業時間: 10:00~19:00
定休日:なし

「モン・プリュ」の大人な焼菓子

次は、元町通よりも南方に位置する"乙仲通(おつなかどおり)"の洋菓子店を紹介しよう。かつては海運にかかわる会社や業者が多かったが、現在は、雑貨や洋服のセレクトショップ、カフェなどが集まる注目のエリアだ。

"乙仲通"には、かつては海運貨物の取扱業者が軒を連ねた

そんな乙仲通りに面する「パティスリー・モンプリュ」は、フランスで研さんを積んだシェフの店だ。フランスの伝統菓子をベースにした華麗なスイーツが人気で、休日には行列ができる。また、イートインが可能なサロンも併設。

乙仲通に面する「モン・プリュ」。フランス製のタイルの看板が目印

今回は、大人向けの焼菓子をチョイスしてみた。「ケーク・オ・フィグ」(248円)は、赤ワインに漬けこんだ白イチヂクとカラメル生地を一緒に焼き上げたもの。コーヒーにも紅茶にも合いそうなコクのある味わいだ。また、メレンゲ菓子「ムラング」(8個入り、514円)もオススメ。軽い歯ごたえのあと、瞬時に口の中で溶ける食感は忘れられない。

左から、「ムラング」(8個で514円)と「ケーク・オ・フィグ」(248円)

●information
モン・プリュ
住所: 兵庫県神戸市中央区海岸通3-1-17
営業時間: 10:00~19:00
定休日:火曜日

隠れ家ショップ「ガトーファヴァリ」

「モン・プリュ」を出て再び乙中通りへ。この通りには、海運関係の会社が使っていた古いビルが多く残っており、いまではショップやカフェなどがテナントとして入っている。「栄町ビルディング」もそんなビルの1つだ。

レトロな「栄町ビルディング」

「栄町ビルディング」の階段を上がり、奥へ進むと、隠れ家のような洋菓子店「ガトーファヴァリ」が見つかる。同店では、オーガニックと天然素材にこだわった焼菓子が充実。「バターサブレ」(310円)や「ほうじ茶のサブレ」(300円)など、素材のよさがストレートに伝わってくる品をそろえている。

「ガトーファヴァリ」はカフェも併設

心を癒してくれる、素朴な焼菓子

●information
ガトーファヴァリ
住所: 兵庫県神戸市中央区栄町通3-1-7 栄町ビルディング208
営業時間: 12:00~19:00
定休日:月曜、火曜日

高架下のカップケーキ店「JIJI」

次は気分を変えて、JRの高架下にある商店街「ピアザKobe」へ足を伸ばしてみよう。三宮駅から元町駅にかけての高架下にある商店街で、ちょっとディープなゾーンだ。その一角にあるカップケーキ専門店が、「JIJI」である。

高架下には、昔ながらのお店と新店が混在

「JIJI」のカップケーキは、眺めているだけでも楽しい

マフィンの上にバタークリームをトッピングした同店のカップケーキ(230円)はなんとも愛らしく、国産の材料にこだわりってていねいに作られている。甘さは控えめで、いくつでも食べられそうだ。常時15種類をそろえ、季節ごとに新作が登場するのも楽しみの1つ。

彩りのよいケーキに目移りしそう

●information
JIJI
住所: 兵庫県神戸市中央区北長狭通3-30-70
営業時間: 11:30~19:30、土曜、日曜は11:00~20:00
定休日:なし

神戸マイスターがいる「ボックサン三宮店」

商店街を抜けたら、三宮・元町エリアで注目の焼菓子店をのぞいてみよう。高架下を「大丸神戸店」の方面へ抜けると、ティールーム併設のケーキショップ「ボックサン三宮店」がある。

落ち着いた佇まいの入りやすいお店

同店のオーナーシェフは"神戸マイスター"の称号を持ち、その技術の高さは折り紙つき。オンラインショップでも人気のメニューが、「六甲カシミアチーズケーキ」(172円)だ。コクのあるチーズを使い、なめらかな口あたりが持ち味。プレーンとチョコレートの2種類があり、2階のカフェでイートインもできる。

濃厚でまろやかな味わいの「六甲カシミアチーズケーキ」(172円)

●information
ボックサン三宮店
住所: 兵庫県神戸市中央区三宮町2-6-3
営業時間: 11:00~20:00
定休日: 火曜日
※カフェはラストオーダー19:00

猫好きにはたまらない「シャトロア」

最後に、元町のスイーツショップ「シャトロア」の焼菓子をご紹介しよう。同店では猫をモチーフにしたスイーツを手がけており、おすすめは猫の肉球をかたどった「フィナンシェ」(8個入り/1,080円)。職人がひとつずつ手焼きしており、しっとりやわらかな味わいだ。

「シャトロア」は、パリのメゾンをイメージした外観

缶にはリアルでキュートなネコが描かれている

思わず笑顔になるビジュアル

●information
シャトロア
住所: 兵庫県神戸市中央区三宮町3-1-1
営業時間:11:00~20:00
定休日:不定休

おしゃれでかわいい神戸の焼菓子は、食べてもおいしいが見た目もいい。洋菓子文化が古くから根付く神戸ならではの、どこかクラシカルで上品な雰囲気も堪能してほしい。

※記事中の情報は2016年5月取材時のもの。価格は税込

筆者プロフィール: 藤岡智子(ふじおか ともこ)

神戸市出身。フットワークの軽さを生かし、旬の情報を収集するとともに、関西を中心に取材・執筆活動を行っている。栄養士の資格を生かしたグルメ取材も多数。趣味は野球観戦。