ノーリツ鋼機のグループ子会社である健康年齢少額短期保険は6月17日 、「健康年齢」で加入できる「健康年齢連動型医療保険」の販売を開始した。実年齢でなく「健康年齢」で保険料が決まる医療保険は、日本初となる。

左から、日本医療データセンター 代表取締役社長 上沢仁氏、ノーリツ鋼機 代表取締役社長 西本博嗣氏、健康年齢少額短期保険 代表取締役社長 大橋宏次氏

ノーリツ鋼機が子会社として保険会社を設立

健康年齢少額短期保険は「健康年齢連動型医療保険」の販売開始に伴い、新設された会社。

ノーリツ鋼機 代表取締役社長 西本博嗣氏は「ものづくりの企業としてありとあらゆる分野に進出してきましたが、保険・医療の分野でもまだまだ改善すべき点があると感じます。今後は、保険会社等の企業と様々な取り組みをしたいと考えていますが、まずは"自らが良いと思うことを自分たち(の企業)でやる"というのが考え方のベースにあります」と語った。

"健康になるほど保険料が安くなる保険"はなぜできた?

"健康になるほど保険料が安くなる保険"は、なぜ開発されたのか。健康年齢少額短期保険 代表取締役社長 大橋宏次氏は「例えば、保険業界の中でも自動車保険では、走行距離が少ない人やゴールド免許保有者ほど、事故を起こすリスクが少ないことをデータに基づいて判断できるため、それに応じた保険料の割引を受ける保険が登場しています。そういった個人のリスクを細かくみる『リスク細分型』の商品を、医療保険でも実現したのが『健康年齢連動型医療保険』です」と語った。

これまで実現できなかった理由として、医療データ保有の有無が問われていたが、このたび同じくノーリツツ鋼機グループ子会社の日本医療データセンターが保有する医療ビッグデータの活用によって、開発を可能にした。

日本で年金・医療・介護を含む社会保険費の増加が社会問題となる中、特に大きな負担を占めているのが医療費。大橋氏は「保険業界では、医療費削減のための解決策として、個人単位での予防医療・健康増進の取り組みが重要だと叫ばれています」と指摘する。このことから、健康診断(健康年齢測定)によって自分の健康状態に対して気づきを与えることと、実年齢と健康年齢の差分に応じて保険料を割引することの、"健康インセンティブ"付与が有効であると考え、開発に臨んだという。

「健康年齢」の算出方法とは

保険料の指標となる「健康年齢」は、日本医療データセンターが保有する160万件を超える健診結果と、レセプト(診療報酬明細書)の医療情報をもとに算出した指標となっている。

「健康年齢」算出モデル

実年齢・性別、血圧や代謝、肝機能、尿に関わる一般的な健康診断結果12項目の数値を使用して算出。総合的な健康度を年齢(健康年齢)で表すことで、直感的に自身の健康状態を把握することができる。健康診断の結果を入力すると、「健康年齢」算出モデルの測定によって、健康年齢と予測医療費が判定される。

「健康年齢連動型医療保険」は実年齢で18歳~75歳まで加入が可能。毎年「健康保険」の見直しがあり、翌年の保険料は翌年の健康年齢で決定する。

例えば、加入時に「健康年齢」が50歳と診断された男性が1年後に45歳へと若返った場合、月々の保険料は4,216円から2,709円。1,507円割引されることになる。

「健康年齢連動型医療保険」サイト

5大生活習慣病(がん・脳卒中・心筋梗塞・高血圧・糖尿病)の治療で入院状態になったときに、入院日数に関わりなく、日帰り入院でも一律80万円の保険金額が支払われる。保険期間は1年間となっており、更新時に改めて健康年齢を算出する。

「健康年齢」と月々の保険料の例

持病があり服薬している人に関しても、過去1年間に5大生活習慣病(がん・脳卒中・心筋梗塞・高血圧・糖尿病)の入院をしていない、あるいは治療のための入院を勧められていない場合は、加入することができる。

同商品の販売はインターネット・通販を通じた直接販売をメインとすることで、手頃な保険料を実現したとのこと。

「健康年齢」の診断結果画面

インターネットでは、「健康年齢少額短期保険」のホームページで契約者本人が、健康診断結果12項目の数値を入力し、「計測する」というボタンを押すと健康年齢の測定が可能。実際に計測後してみて、保険に加入したいと思った人は、そのまま「お申し込みはこちら」と記されたボタンから手続きを行える。なお、本人確認のため、自分で撮影した健診結果のWeb上にアップロードが必要となる。

通販の場合は、健康診断の結果を紙で同社へ送付することで、同社から健康年齢・保険料の算出結果が申込書とともに返送される。「今後は、健康経営のある企業とコンテンツを広げ、新たな販売チャネルも考えている」と大橋氏。

自分の健康づくりにコミットするための保険へ

販売目標としては、2016年度に販売件数5,000件、2020年度末に保有契約件数5万件を掲げている。

大橋氏は「今回の健康年齢連動型医療保険は、保険の加入理由の常識を変える力がある保険だと思っています。これまでの保険では、万一何かがあったときのために備えるという理由で加入する方がほとんどでした。一方、この商品では、自分の健康づくりにコミットするために加入する人が出てくるのではないかな、と。今後の保険業界において、健康年齢で加入する保険が当たり前な世界になっていくために、我々がその先陣を切ってスタートしていきたいです」と意気込みを語った。