武蔵野大学付属 産後ケアセンター桜新町では、助産師をはじめ専門スタッフが産後のママをバックアップ。出産後4カ月未満のママと赤ちゃんが利用でき、プランには宿泊・日帰りのコースがあります。宿泊プランは、各種ケア・相談・食事・居室使用・寝具使用・雑費を含み、1泊税込3万2,900円(世田谷区在住者は要件により利用料が軽減される場合もあります)。24時間体制で助産師や保育士によるケアが受けられます。今回、4泊5日で利用したママの体験をレポートします。


1日目(入所)

14:00産院からそのままチェックイン、何はともあれ睡眠から

完全母子同室の産院から、我が子を抱いてセンターへ直行。入所後、助産師に何より先に促されたのが睡眠。24時間体制で慣れないことだらけのお世話に加え、睡眠不足で疲れがたまっていたようで、赤ちゃんを預けて夕食までぐっすりと寝てしまったのこと。産後のママにとって、まとまった睡眠が何よりのケアになることを実感したそうです。産院からその足でそのまま入所したため14時に入所となりましたが、本当は10時から入れます。

赤ちゃんもスタッフの手によって、ぐっすり安眠

18:00夕食、食事時間もしっかり確保

食堂で他のママたちと食事をします。赤ちゃんはスタッフにお願いし、落ち着いて食事をきちんととることが体力回復への近道という考えから、40分間の食事時間をしっかりと確保してくれます。「人が作ってくれたごはんをゆっくり味わえるうれしさったら! 」とのこと。

栄養バランスのとれた食事を用意

夕食後~翌朝、夜間授乳もサポート

まだまだ睡眠不足を実感。その解消のため、授乳から次の授乳時間までの間は、スタッフが赤ちゃんを預かってくれます。ママ自身、赤ちゃんの寝ぐずり等の心配もなく、しっかり眠れたのこと。加えて、深夜でも助産師におっぱいの悩みを相談できたり、希望すれば赤ちゃんの寝かしつけの仕方を教えてもらえたりなど、きめ細かいサポートが受けられるようになっています。

2日目

8:00朝食、しっかり寝た後の朝ごはんのおいしさ

まとまった睡眠がとれたことで、この日の朝には疲れが取れてきていることを実感。同時期に出産したママたちとのおしゃべりも最高の気分転換になり、リラックスしながら楽しい朝ごはんタイムを迎えられたとのこと。

9:00赤ちゃんの沐浴、初めてのスポンジバス

一般的な沐浴のやり方ではなく、初めて「スポンジバス」にチャレンジ。助産師さんが声がけしながら、手際よく沐浴をこなしていきます。

スポンジバスなら両手を使って赤ちゃんを沐浴できる

このスポンジバスは、防水シートやバスタオルなどの上で、少量のお湯と泡でベビーの汚れを洗い、お風呂場で流すやり方。一般的な沐浴の場合、片手でお湯の中へ入れた赤ちゃんを支え、逆の手で赤ちゃんを洗うため、手にかかる負担が大きくなります。一方、スポンジバスだと両手を使ってしっかりベビーを洗え、流すお湯は大人と同じバスタブで沸かしたさら湯を使うことができるので負担を軽減することができます。

午前中、個々の体調を見ながらケアが決まる

助産師さんと相談しながら、体調に合ったケアやサポートを決めます。せっかくなので、全身エステを希望したところ、この日はNGに。血行が良くなりすぎて、母乳が過剰に作られることが予想されるからだそうです。「体調を見ながらケアしてくれるので安心&納得」とのこと。

12:00ランチ~午後、希望のメニューでリラックス

ランチタイムが終わり、午後の時間は授乳のタイミングに合わせながら育児相談やベビーマッサージ、エステやお昼寝など、希望のメニューでゆったりとした時間を過ごします。

18:00夕食~翌朝、赤ちゃんとのリズムが確立してくる

2日目の夜にして、夜間授乳のリズムをはじめ、赤ちゃんとの生活リズムがだんだんとできてきていることを実感。「自分ひとりで試行錯誤していたら、なかなかスムーズにはリズムづけができなかっただろうな」と感じたそうです。

3~4日目

体力も気持ちの面でもすっかり元気に

基本的な流れは2日目と同じ。睡眠時間の確保と、規則正しくゆったりした時間で食事をすることでしっかりと体力が回復。育児の悩みや不安をすぐに相談して解消できたり、助産師さんから赤ちゃんのお世話のプロのテクニックを伝授してもらったりすることで、気持ちにも余裕ができたそう。「これなら帰宅後には自信を持って育児ができそう」という前向きな気持ちにもなれたようです。希望していた全身エステも、体調をみながら施術してもらえました。

体調をみて、全身エステも体験できる

テクニックその1……おひなまき
おくるみで、赤ちゃんがおなかにいた時と同じ姿勢を保つように巻くやり方。モロー反射(新生児に見られる原始反射)で寝つかない子にも有効です。

おひなまきをマスター

テクニックその2……爪切り体験
赤ちゃんの爪切りは、最初は怖いもの。切った爪が目に入ったり、肌を傷つけたりしないよう、爪切りは赤ちゃんの顔から離し、切った爪は黒色の布の上に載せて紛失防止するなど、注意すべきポイントを教えてもらいました。

赤ちゃんの爪切りで注意すべきポイントを教わる

5日目(退所)

疲労も抜け、自宅でのお世話も大丈夫そう

最終日は、夕食後の19時までセンターで過ごせます。すっかり疲労がとれ、育児に対していろいろと不安ばかりだった入所前とは変わって、「自宅でもがんばろう」という希望がわいてきたとのこと。「24時間体制の綿密なケアのおかげで心身共に充実! 同時期にセンターで過ごし、悩みや喜びを共有できたママ友は心強い存在です」とコメント。

産後ケアで精神的にも前向きに

体験したママがこの4泊5日間で気づいたのは、「睡眠と食事が養生する上でのカギとなっている」ということでした。実際、体力を取り戻すために大切なこの2つを、まずはしっかりとサポートしてくれる体制になっています。スタッフが24時間体制で見守ってくれて、プロの目で必要な心と体の両面からのケアやサポートを施してくれることで、退所時には精神的にも安定できたことが一番の成果になったようです。「自宅に戻ってからの育児も、前向きに取り組めるきっかけになっています」と話してくれました。


武蔵野大学付属 産後ケアセンター桜新町では、産後すぐのママだけでなく、4カ月までの赤ちゃんのいるママも対象になっています。料金的に誰もが気軽に利用できるものではないかもしれませんが、ママの育児不安が育児困難へとつながらぬよう、そして、ママも笑顔で赤ちゃんのお世話ができるよう、産後ケアセンターを活用するのもひとつの方法ではないでしょうか。

※記事中の情報は2016年6月時点のもの

筆者プロフィール: 回遊舎

"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」「J-REIT金メダル投資術」(秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」(ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(廣済堂出版)など。