■やせる習慣をつける
同じ行動を1カ月続けると習慣になります。具体的な方法は次のとおり。

1. 毎日100kcalを減らせる行動を書き出す
次にあげる例のように、毎日100kcalを減らすために自分が楽しんでできそうなリストを作りましょう。

(例)
・1回の食事の半分は野菜を食べる。
・ごはんはお茶碗0.8杯にする(冷ごはんの方が吸収されにくいのでお勧め)。
・エレベーターやエスカレーターを使わず、階段を使用する。
・コーヒーに砂糖を入れない。
・ジュースをやめて水かお茶にする。
・背筋を伸ばして座る。
・自動車を使わず、徒歩か自転車にする。
・下腹を意識してモデル歩きをする。

2. 1カ月チェックリストを作る
1の項目を縦に、1カ月の日付を横に書いた表を作る。

3. できた項目を毎日チェックする
1カ月間、できた項目に○をつけることを日課にします。○をつけることで行動の意識づけになり、1カ月続けたあとは無意識にできるようになります。

不妊治療としてのダイエット

肥満で月経異常がある方は、「体重の5~10%を2~6カ月かけて減量する」のが目標です。10%減量した場合、8割以上の方に排卵が回復します。

脂肪はエネルギーの貯蔵庫として脂をためるだけでなく、細胞から「アディポサイトカイン」という身体に良いホルモンを分泌しています。このホルモンは、「インスリン」というホルモンを助ける作用があり、排卵をスムーズにします。

脂肪には内臓脂肪と皮下脂肪の2種類があり、性格が異なります。アディポサイトカインを分泌するのは主に内臓脂肪なのですが、内臓脂肪に脂がたまりすぎると、正常に分泌されなくなり、排卵が不規則になってしまいます。ただし、皮下脂肪より交感神経に3倍も反応しやすく、減量で最初に減るのは内臓脂肪です。ですから、たとえ5%の減量でも月経を整える効果があります。

自力でのダイエットが難しい場合

不妊治療の場合は、女性の年齢による妊娠力の低下も問題になります。自力でのダイエットが難しい場合、不妊治療クリニックでもダイエットを指導する場合があります。

私が勤める医療法人オーク会では、2カ月での短期集中のダイエットプログラムを組んでいます。参考までに内容を記しますと、基本は、「置き換え食によるカロリー制限」と「自宅での運動・食事内容と体重の記録」です。置き換え食は、単なるカロリー制限では不足しやすい、体に必須なミネラルやタンパク質を十分配合したものをとっていただきます。2週間ごとに来院いただき、状態を把握します。

また、カロリー制限だけではお腹がすきやすいので、食欲抑制剤や脂肪吸収抑制剤、代謝亢進(こうしん)作用のある漢方を組み合わせて内服していただきます(薬は適応や副作用の可能性があるので、医師のもとでの服用が必須です)。

くれぐれも無理のない方法で、標準体重を目指してダイエットに取り組んでみましょう。

※画像と本文は関係ありません

記事執筆: 船曳美也子(ふなびき・みやこ)

1983年 神戸大学文学部心理学科卒業、1991年 兵庫医科大学卒業。産婦人科専門医、認定産業医。肥満医学会会員。医療法人オーク会勤務。不妊治療を中心に現場で多くの女性の悩みに耳を傾け、肥満による不妊と出産のリスク回避のために考案したオーク式ダイエットは一般的なダイエット法としても人気を高める。自らも2度目の結婚で43歳で妊娠、出産という経験を持つ。2013年10月9日、「婚活」「妊活」など女性の人生の描き方を提案する著書『女性の人生ゲームで勝つ方法』(主婦の友社)を上梓。En女医会にも所属している。

En女医会とは
150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。