「女性不妊」の基本検査で確かめる3つのことは?

子作りをしているのになかなか妊娠できない場合、不妊治療を視野に入れるカップルも多いことでしょう。不妊の原因は男性と女性の両方に考えられます。今回は、女性に原因がある「女性不妊」の検査と治療法、費用についてお話しします。

妊娠成立とは?

妊娠したいと思ったら、排卵前から排卵頃に数回、タイミング(性行為)をもってください。女性が20歳~30歳前半でしたら1年、35歳以降は半年で妊娠しなければ、クリニックを受診しましょう。もちろん、まずは検査を一通り受けておくのもよいと思います。

妊娠が成立するには、「精子と卵子が卵管で出会う→受精卵ができる→子宮に着床→育つ」という流れが必要です。そのために、射精された精子は「膣(ちつ)→子宮→卵管」と動いていきます。また、月に一度排卵された卵子は、うまく卵管が取り込むと、卵管の中で精子と出会います。

基本検査で確かめる3つのこと

妊娠が成立しないときはどこかに原因があるので、それを調べることになります。基本検査は、「排卵をしているか」「卵管が通っているか」「精子が入っているか」の3つを確認するものです。

1. 排卵をしているか

排卵を調べるのは、「超音波検査」で行います。経膣的超音波を用いて、卵胞(卵子が入っている袋)が育って破れるのを確認します。時期は、卵胞が育ちかけているとき、排卵頃、そして排卵後の確認と、1カ月に3回は必要です。保険適応は1周期3回まで可能で、1回約2,000円です。ただし保険適応は、排卵誘発剤の処方を受けた方に限られます。また、基礎体温チェックも有効なので、できるだけつけてきてください。

2. 卵管が通っているか

次に、卵管が通っているか。水を通す「通水試験」と、造影剤を使用する「卵管造影検査」があり、後者のほうが確実です。ただ、100%の正診率ではありません。検査時期は、月経直後~排卵前。また、注意しなければならないのは、詳細は後述しますが、卵管が通っているからといって卵子が卵管に入っているわけではないということです。通水試験もしくは卵管造影の費用は、保険適応で約4,000円です。

3. 精子が入っているか

最後に、精子が入っているかは「フーナーテスト」で調べます。フーナーテストでは、排卵頃に性交渉をした後で、できれば数時間~12時間以内に子宮頸(けい)管粘液を調べて精子の数を確認します。費用は、保険適応で数百円です。このほか、月経中(低温期)に行うホルモン採血、排卵後(高温期)に行うホルモン採血があります。それぞれ、卵巣が順調に卵胞を育てそうか、排卵後の黄体が機能しているかを測定します。費用は保険適応で、低温期が約2,000~3,000円、高温期が約1,000円です。

他に「AMH(抗ミューラー管ホルモン)」といって、発育する卵胞の予備力をみる検査をする場合もあります。また、「抗精子抗体」という精子を攻撃するような自己抗体をもっていないかを調べる検査もあり、自己抗体がある場合は、精子と接触しないように体外受精が適応になります。AMHと抗精子抗体は自費検査で数千円のことが多いです。

後編では具体的な治療法についてお話しします。

※すべて費用は診療機関で一度ご確認ください
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記事監修: 船曳美也子(ふなびき・みやこ)

1983年 神戸大学文学部心理学科卒業、1991年 兵庫医科大学卒業。産婦人科専門医、認定産業医。肥満医学会会員。医療法人オーク会勤務。不妊治療を中心に現場で多くの女性の悩みに耳を傾け、肥満による不妊と出産のリスク回避のために考案したオーク式ダイエットは一般的なダイエット法としても人気を高める。自らも2度目の結婚で43歳で妊娠、出産という経験を持つ。2013年10月9日、「婚活」「妊活」など女性の人生の描き方を提案する著書『女性の人生ゲームで勝つ方法』(主婦の友社)を上梓。