JR北海道はこのほど、2016年度の収支計画を発表し、過去最大の175億円の経常赤字になるとの見通しを明らかにした。

北海道新幹線開業後も、JR北海道の厳しい事業運営が続く

同社は2016年度、北海道新幹線開業やインバウンドの増加による増収を見込み、経常収益は2015年度見通しより97億円上積みした920億円を計画した。その反面、北海道新幹線が大幅な赤字となる見込みであることや、安全投資や修繕費がかさむことから、営業損益は465億円の赤字となる見通し。このうち290億円は経営安定化基金の運用益などで埋め合わせされるが、残る175億円が経常赤字となる見込みとなった。

今後の見通しについても、「安全の基準を維持するための費用を適切に確保する前提で今後の収支を見通した場合に、大幅な赤字となる状況が常態化してしまう」としている。同社が保有する普通列車用気動車(計205両)で最も多いキハ40形(138両)が平均車齢35年、特急用気動車236両のうち90両を占めるキハ183系が平均車齢30年となるなど、修繕や更新の必要な車両や鉄道設備が多いことが理由だ。このままだと2017年度以降も毎年400億円を超える営業損失を計上し、170億円以上の経常赤字を出し続けることになるという。

JR北海道は、「このような状況が続いた場合、早晩企業としての事業の継続ができなくなってしまう」として、利用の少ない線区での駅や路線の廃止を含む「事業範囲の見直し」に取り組み、抜本的な経営改革に着手する考えを示している。