東京商工リサーチは2月5日、「業歴30年以上の『老舗』企業倒産2015年調査」結果を発表した。2015年の企業倒産8,812件(負債1,000万円以上)のうち、創業年月が判明しない個人企業を除く7,832件(構成比88.8%)を対象に分析している。

業歴別企業倒産件数構成比推移

調査によると、2015年に倒産した業歴30年以上の「老舗」企業は2,531件。前年(2,647件)より116件減少したが、倒産に占める構成比は32.3%と前年比1.7ポイント上昇した。過去20年間で最高の記録という。全産業の倒産がバブル末期の25年ぶりの低水準で推移するなか、老舗企業の倒産は構成比を高めている。

老舗企業の倒産構成比を都道府県別でみると、最高は福井県の62.7%(前年比21.4ポイント増)、次いで山形県(構成比60.7%)、山口県(同59.5%)、徳島県(同55.5%)と続いた。

倒産件数に占める老舗企業の構成比は2011年以降、5年連続で30%台が続いている。「老舗企業は長年培ってきた信用と資産が評価され、金融機関からの支援が受けやすかった。しかし、強みのはずの資産もデフレで担保価値が目減りし、円安に伴う原材料高騰などで企業体力を消耗させているところも多い。さらに、老舗であるがための『過去の成功体験』や経営環境の急激な変化への適応力の低下も無視できない」と同社では分析している。

一方、業歴10年未満の「新興」企業倒産は1,798件(構成比22.9%)で、構成比は前年(23.8%)より0.9ポイント低下し、2009年以来6年ぶりに22%台へダウンした。「業歴10年未満の新興企業はバブル以降の設立で、資産が乏しく金融機関からの借入が難しい反面、経営環境の変化にも身軽な方針転換が可能な利点が発揮されているとみられる」と同社。