――ここまでヒットが出ると、"ヒットの法則"のようなものも見えてきたのでは?

基本的には全くわかりません(笑)。ただ「ネタになる」「数を集めたくなる」「写真を撮りたくなる」など要素はいっぱいあると思うのですが、それが全部入っていてもダメだった例はあります。突き詰めたところ、時代とマッチしなきゃダメなんじゃないかなと思うんですね。うちの商品の特徴として、ラインナップに偏りがあるのは「担当者が好きなものしか作っていない」から。作っている人間が好きかどうかは買う人にも伝わると思うんです。社長は「愛のあるものづくり」という言い方をしていますが、好きなものを作るからこそこだわりを込めて、中途半端なものはやめよう、振り切ったものだからこそ「ゴミは作らない」ということは大事にしています。

――確かに、奇譚クラブさんのトイは長く使いたくなる気持ちになります。

うれしいのは、「ずっと飾っててボロボロになっちゃって、もう一回買いたいんだけど売ってないんだよね」って言われることですね。「ずっと置いていたら日に焼けちゃったから、同じものがほしい!」とか。

――ネーミングにもヒットの秘密がありそうですが。

ガチャガチャをやるかどうかは出会ったポップ(台紙)を見た瞬間に決まるんですね。だから会議で少しでも「うーん」って迷ったら却下です。例えば、ゼンマイを巻くと音が鳴るセミだから「セミナール」とか。これはあえてそういう音を出しているわけではなくて、ゼンマイが空回りして「ジー」という音が鳴っているだけなんです。余談ですが、この商品に関しては、中国の方から「動かないけど、これでいいの?」と心配する声まで寄せられました(笑)。

「セミナール」

――新商品の展開のペースはゆっくりですよね。

じっくり作っちゃうので(笑)。人も少ないですからね。でも連発しない理由もあります。連発しちゃうと僕らも飽きちゃうし、お客さんも飽きちゃうのではないかというところがすごくあります。例えば「フチ子」のナンバリングシリーズは年に1回と決めているんです。それも、僕らとお客さんのちょうどいい期間が1年なんじゃないかなと。売り上げの数字のために「フチ子」を作っているということが見えるのは嫌ですし、ファンの方にももう1年に1回というのがわかっているから出るタイミングもバレてるんですよね。年間の恒例ということでいくと、「フチ子」はちょうどiPhoneみたいな感じですね(笑)。

――アイデアを生み出すためにやっていることは?

毎月1回全員集まって飲みに行くくらいですね。うちは社員が12人しかいないんですけど、これだけはどんなことがあっても欠席は許されないんです。そこで趣味とかハマっているものを話して、企画につながることもあります。

――ガチャガチャ以外にも進出はしないのでしょうか? ネット通販でもかなりヒットしそうですが。

みんなガチャガチャが好きなんですよ。「夢がある」なって。今の時代って、ほしいものはネットですぐに買えてしまいます。でもガチャガチャって、お金を出しても自分がほしいものが手に入らない可能性のほうが高いですよね。そこがいいなと思うので、ネットでの販売は現状お断りしています。ガチャガチャって特殊で、この販売スタイルが許されるのは日本ぐらいなんですよ。

――海外展開などは考えていないのですか?

海外では基本的に「ガチャガチャ」という文化があまり浸透していません。自動販売機は置いていると取られちゃったりするんで。ただ、台湾や香港では最近普及しつつあります。日本に旅行に来られた方に買っていただいていることも多くて、先日家族5人で2時間回し続けていた人もいました。20万円を両替してくれと言われたので、さすがに驚きましたね。

――今後の展開を教えてください。

最近「フチ子」で落ち着いてきたと思われているので、そう思っているお客さんを良い意味で裏切っていこうと思っています。もっとみんなの想像の斜め上のことをやりたいですね。今は6月のリリースくらいまで決まっていて、けっこうおもしろいのが待っていると自信を持っています。でも、僕らがおもしろいと思うものほど売れないんですよね~(笑)。

「奇譚クラブ本~コップのフチ子と愉快な仲間たち~」の表紙

現在、奇譚クラブの歴代商品をまとめた公式ガイドブック「奇譚クラブ本~コップのフチ子と愉快な仲間たち~」がポニーキャニオンより発売中。価格はフィギュア付き版が2000円(税別)、通常版が1700円(税別)。

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