(C)2015 シネマの天使製作委員会

――少し意外な気もします。経歴を見ると出演作も増えていますし、活動自体は順調な印象だったのですが。

オーディションとかも全然受からなかったんです。本当に悩んでいました。

――何がきっかけで好転したと思いますか。

やっぱり、そうやって悩み続けても「やりたい」という気持ちが強かったから「やるしかない」と思えるようになったんだと思います。そして、この映画に関わって影響を受けたことも、私にとっては大きかったことだと思います。シネフク大黒座に足を運んでいた方々の映画への愛情に触れると、それに出させていただいている以上、私ももっとがんばらなきゃいけないと強く感じました。思い続けることが大事なんだと、この映画は教えてくれたような気がします。

――さらにその先には『デスノート』という注目作の出会いもありました。多くの人に知られるきかっけにもなったのでは?

原作がある上に、すでに映画化されているものをドラマ化するということで、とても話題性のある作品だと思いました。それに出させていただいただけでも幸せなことなんですが……周囲の見方が変わった印象は、正直なところあまりないんです(笑)。

――藤原さんの出身地・岡山県倉敷市は今回の映画の舞台設定と近いため、そのことも起用の理由だったそうです。でも、地元に映画館がなかったそうですね(笑)。

そうなんです(笑)。車で30~40分ぐらいのところにはシネコンがありましたが、シネフク大黒座のような歴史のある映画館は近所にありませんでした。

――中学までは陸上部。高校になるタイミングで上京したそうですが、地元ではどのような青春時代を過ごされたのでしょうか。

わりと自由、マイペースな学生でした。図書室とかずっと行ってたりするような……でも大人しいわけではなくて、うるさいとよく言われていました(笑)。ムードメーカーまではなれていないのかな……元気いっぱいの活発な女の子だったと思います。

小学校の頃に『りぼん』という漫画雑誌に出させていただいていたんですが、それ以降は芸能界への憧れもまったくありませんでした。中学3年の時に進路を決めないといけなくて、何になろう……と考えた時に「有名になりたい」とふと思ったんです(笑)。それでこの業界に飛び込んだので、もともと女優さんに憧れていたわけではありませんでした。

――演技、女優に意識が向くようになったきっかけは?

いろいろなお仕事をやらせていただく中で、女優としての覚悟というか、そんな思いが芽生えたのは『アリスの棘』(14年5月・TBS系/7話~)です。主演の上野樹里さんは憧れの女優さんだったんですけど、現場での立ち居振る舞いやお芝居との向き合い方を目の当たりにして、ストイックなところも含めて感動しました。

――上野さんは先日、取材でお話させていただきました。とても魅力的な役者さんですよね。

本当ですか!? すてきな方ですよね。とっても気さくに接していただきました。

――ところで今回、取材をさせていただく上で藤原さんのブログを拝見しました。ご両親のことにも度々触れていらっしゃいますが、ご自身の誕生日には「幸せに自由に育ててくれてありがとう」と感謝の気持ちがつづられていました。

一人っ子なので、周囲から「地元にいる両親は寂しいんじゃない?」とよく言われますが、むしろ背中を押してくれているのは両親の方です。出演作やブログもすごくチェックしてくれて、私がやりたいと言ったことを素直にやらせてくれているのは本当に感謝しています。よくマイペースと言われますが、今の私があるのは両親がそうやって育ててくれたおかげなのかなとも思います(笑)。

――今回の映画は多くの人にとって"特別な場所"の話でした。藤原さんはブログで「何かと考えたいときに行く場所」として東京タワーの写真をアップされていましたね。

特に思い出やエピソードがあるわけではないのですが、時々ふらっと行く機会があって何か縁があるのかなと感じている場所です。夜に行くことが多くて、夜空の中で浮かび上がるあの色にハッとするというか。初心に返って自分を見つめ直せる場所でもあるのかなと、感覚的な話になってしまいますが、そう思います。

――ブログにはそのほか、ご両親の結婚記念日のことも書いてありました。とてもすてきな内容でした(2015年5月22日付「今日は、両親の結婚記念日らしいです」「生んでくれてありがとう!喧嘩しながらも面白い夫婦でいてくださいな!」)。

すごく仲良いんです(笑)。両親が結婚しなかったら今の私はいなかったわけで……そう考えると素直に「結婚してくれてありがとう」と思います。両親は20歳で結婚したそうなんですが、今の私は21歳。この年齢で私を産んで育ててくれたということがどれだけすごいことか。そうやって感謝はしていきたいなって思っています……(笑)。恥ずかしくて、笑っちゃいました!

■プロフィール
藤原令子
1994年8月16日生まれ。岡山県倉敷市出身。身長157センチ。2012年の『今日、恋をはじめます』でスクリーンデビュー。今年に入って『アリスの棘』(TBS系)、『デスノート』(日本テレビ系)など注目ドラマに出演したほか、初主演を飾った本作をはじめ今年は『内村さまぁ~ず THE MOVIE エンジェル』、『合葬』などの映画に起用された。