「第44回東京モーターショー2015」の一般公開に先立ち、10月28・29日にプレスデーが開催された。ヤマハ発動機はモーターサイクルやスクーターなどの二輪車に加え、四輪車のデザインコンセプトモデル「スポーツライド コンセプト」を世界初披露した。

ヤマハ「スポーツライド コンセプト」。プレスブリーフィングにはヤマハ発動機代表取締役社長、柳弘之氏が登壇した

二輪車に近い世界観を持つヤマハらしい四輪車

前回の東京モーターショーでも、2人乗りの四輪コミューター「MOTIV」を出展していたヤマハ。今回は四輪のデザインコンセプトモデル「スポーツライド コンセプト」がワールドプレミアとなった。

同社代表取締役社長、柳弘之氏はプレスブリーフィングにて、「ドライバーとマシンの関係を二輪車に近い世界観で表現しました。『人機官能』という、ヤマハらしいスポーツカーイメージの提案です」と説明。「人機官能」とは、「人と機械を高い次元で一体化させることにより、人の悦び・興奮を作り出す技術」(柳氏)で、ヤマハ独自の開発思想だという。

「iStreamコンセプト」のフレーム(写真左)を採用

「スポーツライド コンセプト」インテリア

「スポーツライド コンセプト」は「MOTIV」と同様、ゴードン・マーレーデザイン社が提唱する、F1に源流を持つ軽量で高剛性な車両構造「iStreamコンセプト」を採用。ボディサイズは全長3,900mm×全幅1,720mm×全高1,170mmで、車両重量は750kg。乗車定員は2名で、パラレルの2シーターだ。

ヤマハの四輪車といえば、同社がエンジンサプライヤーとしてF1に参戦していた1990年代初頭、「OX99-11」というスーパースポーツが開発されたことがある。やはりF1の技術を市販車に用いるというコンセプトで、タンデムだが2シーターだった。「スポーツライド コンセプト」を見学して、どことなくその面影や思想を受け継いでいるように感じた。

柳氏は「スポーツライド コンセプト」について、「四輪車開発へのチャレンジのひとつの方向性」と表明。プレスブリーフィングでは、現在行われている「MOTIV」の走行実験の様子も紹介され、同社ブースには海外で生産されている4輪バギー「YXZ1000R」も展示されるなど、"ヤマハ車"の幅広い可能性が示された。

「MOTIV」走行実験の紹介映像

ヤマハ「YXZ1000R」

二輪関連は電動アシストMTBからロッシ選手のライバル(?)まで

もちろん、ヤマハブースでは二輪関連の展示も充実している。世界最高峰の二輪車ロードレースであるMotoGP用競技車両「YZR-M1」をベースに、公道走行を可能としたヤマハスーパースポーツのフラッグシップモデル「YZF-R1M」にまたがっていたのは、ヒト型自律ライディングロボット「MOTOBOT」だ。ロードレース世界選手権で9回のワールドチャンピオンに輝き、いまもヤマハから参戦を続けるバレンティーノ・ロッシ選手のラップタイムに挑み、200km/hを超えるサーキット走行の実現をめざして開発中とのこと。

ヤマハといえば電動アシスト自転車でもおなじみだが、"ママチャリ"ではなく電動アシストロードバイク「YPJ-R」がこの12月にも発売される予定だ。ブースには同車と並んで、マウンテンバイク「YPJ-MTB CONCEPT」も展示された。電動アシスト機ならではの登坂性能が楽しめるのではないだろうか?

ヤマハ「YZR-M1」

ヤマハ「YZF-R1M」「MOTOBOT」

ヤマハ「YPJ-MTB CONCEPT」

ヤマハ「PES2」

モーターサイクルのEVも参考出品されていた。ストリートスポーツのコンセプトモデル「PES2」は、前輪にインホイールモーターを装着した2WD。ガソリンエンジンとは異なるEVならではの独自構造に注目したい。

四輪・二輪ともにチャレンジにあふれていたヤマハの出展車両。それでいて、話題作りのための突飛な試作車ではなく、ユーザーや時代のニーズが十分感じられるコンセプトモデルを提案していたのが印象的であった。