俳優のオダギリジョーが26日、東京・六本木ヒルズで行われた第28回東京国際映画祭コンペティション部門出品作品『FOUJITA』(11月14日公開)の記者会見に、中谷美紀、小栗康平監督、クローディー・オサールプロデューサーと共に出席した。

『FOUJITA』記者会見に登場したオダギリジョー

本作は、フランス・パリで活躍した日本人画家・藤田嗣治の半生を描いた作品。『泥の河』『死の棘』『眠る男』の小栗康平監督が10年ぶりにメガホンをとった。

フジタを演じるオダギリは、小栗監督に声をかけてもらったことを「本当に光栄」と感激し、「フジタはあまり知らなかったですし、いまだにそんなに興味があるわけではないんですけど、小栗監督の作品に関わりたいなっていう気持ちだけで参加したのが正直なところ」と本音を暴露。小栗監督は小突きながらも「うれしいです」と喜んだ。

そしてオダギリは「久しぶりにいい映画を見た」と完成した映画の感想をコメント。「今まで見た自分の映画の中のオダギリジョーという役者の幅をいくつもいくつも超えてそこに存在していて、監督のおかげでいい俳優になれたなみたいな…言い方難しいですけど」と監督に感謝し、「うれしく思っています」と続けた。

また、フランス語は「セリフを丸覚えした」と言い、フランス語の先生による棒読みのCDを聞いて丸暗記した後、フランス人俳優に芝居してもらったものを録音して聞き、「感情を持ったフランス語に仕上げていった」と過程を説明。「文法も、下手したら単語の意味すらわかっていないところもあって、響きから身に入れていったという感じ」と明かした。

さらに、前半と後半で大きなギャップがあるフジタの役作りについて「監督に丸投げしました」と明かすオダギリ。「自分の我を出して見せていくよりも、監督の手のひらの中に転がっていく方が、僕にとっても作品にとってもいいと思ったので、8割9割監督の言うことを素直に聞いていた」と語った。

オダギリの発言について、小栗監督は「『丸暗記』『丸投げ』というのはマイナスではない」と補足。「俳優さんが何かを預けるということはとても勇気がいること。感覚的にゆだねることができる役者はとても少ない」と言い、「オダギリ君が自分の身体の全体から芝居をつかむ、最も難しいことをやっている一人の俳優」と評価した。

左から小栗康平監督、オダギリジョー、中谷美紀、クローディー・オサールプロデューサー