ウェザーニューズは10月19日、企業内保育園「WNI RAIN KIDS HOUSE」を同社が入居する千葉県千葉市の幕張テクノガーデンに開設した。この日行われた開所式の様子と、同社の先進的な取り組みについてご紹介する。

ウェザーニューズの企業内保育園「WNI RAIN KIDS HOUSE」が開園

乳幼児も小学生も受け入れ可能

開所式が執り行われた

「WNI RAIN KIDS HOUSE」は、同社の全社員を対象とした企業内保育園。開園時間は平日の7~18時となっていて、0~6歳児が対象。園内では、気象情報を提供する同社ならではの取り組みとして、社員による天気の体験学習なども開かれるという。

さらに注目すべきは、同保育園内に「学童スクール」が併設されている点だ。公設の学童保育とは異なり、各学校から離れた位置にあるため、スタッフが放課後に児童を小学校まで迎えに行くサービスまでついている。平日の受け入れ時間は13~20時となっているが、夏休みなどの長期休暇期間中は7~20時に拡大し、子どもを持つ社員を広く支援していくという。

ウェザーニューズ代表取締役社長の草開千仁氏があいさつ

この日開かれた開所式で、同社の草開千仁代表取締役社長は「私自身、仕事でも子育てでも学ぶことが多かった。こんな2つの素晴らしい機会をどちらか選択するのではなくて、どちらも実現できる体制づくりを目指す」とあいさつ。「雨の降るときに傘がなくて困っている人に傘を差し出せるような優しい子どもたちを育てたい」と保育園運営の決意を述べた。

社員の意見を取り入れた保育園

最もニーズが高かったのが企業内保育園だった

社員が子育てと職場での活躍を両立できるような制度づくりを検討してきたという同社。そんな中でニーズが高かったのが企業内保育園だった。女性社員から、「保育施設の受け入れ状況によっては復職できるか不安」「モチベーションはあってもフルタイムで働くことが難しい」などの声が多く寄せられたという。

同社では、保育園の開設を目指して2年ほど前にプロジェクトチームを発足。子育て経験や既婚・未婚に関係なく、女性7人・男性3人でどのような保育園を作るか、意見を出し合った。

仕切りのない空間を広く取った園内。床には天気図がデザインされている

こだわったのは、園庭がないという欠点を補完するために仕切りのない空間を広く取ったことだ。加えて、可動式の家具を多く配置。広いスペースを生かして運動場としての利用のほか、家具を動かしてスペースを区切ることもできる。また細かい点ではあるが、トイレの手洗い場には布製のタオルでなく衛生的なペーパータオルを設置するなど、複数の保育園を回って良い点を洗い出し、設備設計に生かしていったという。

トイレの手洗い場など、細部まで社員のこだわりが光る

園内は、「WNI RAIN KIDS HOUSE」という名前にちなんで雨や傘をモチーフにした内装になっていて、床には天気図のデザインも取り入れられている。

女性の活躍で高まる子育て支援のニーズ

同社によれば、現在約570人いる社員のうち38%が女性。さらに、ここ数年の新卒採用では男女比率がほぼ50%、育児休業からの復職率も90%を超えていて、今後ますます子育て支援のニーズが高まっていくという。

一方で、草開社長は「保育園の採算は度外視。おかげさまで近年、売り上げ自体が増収増益なので開設が可能だった」とコメント。すべての企業で取り入れることは、難しい取り組みなのかもしれない。

厚生労働省の調査によれば、全国の事業所内保育施設の数は4,349カ所(平成25年3月現在)。今年度から、従業員以外の子どもを一定数受け入れるなどの条件付きで自治体から認可されれば給付金が出る制度も施行されたが、まだまだ少ないのが現状だ。同社のような保育施設の開設が今後、全国でどこまで広がるのか注目される。