神戸といえば海と山に囲まれた美しい景観、そして、世界へ広がる港と異国情緒あふれる風景で、観光地としても人気が高い。絵になる街並みのせいか、映画やドラマの撮影が行なわれることも少なくなく、最近では映画「HERO」、そして、視聴率40%超えを記録したドラマ「半沢直樹」の舞台にもなっている。そんな絵になる神戸の街に出て、映画やドラマのワンシーンを思い出しながら映像の中の風景を探しに行ってみよう。

重厚な歴史建築の兵庫県公館。ここは映画「HERO」(2015年公開)の舞台にもなっている

あの冷静な彼女が嫉妬(?)した場所

まずは、三宮駅からスタート。三宮駅は神戸の中心となる駅で、JR・阪神電鉄・阪急電鉄・神戸市営地下鉄が乗り入れている。その三宮駅から南へ5分ほど歩くと東遊園地が見えてくる。ここは明治時代に造られたという古い歴史を持つ公園で、そばには神戸市役所の庁舎がそびえる。

園内は緑と花にあふれ、美しい彫刻や記念碑、噴水が点在。普段はオフィス街の憩いの場として、市民から親しまれている。冬にはルミナリエや震災追悼行事が催されるため、もしかしたら映像で目にした人もいるかもしれない。

東遊園地はオフィス街の憩いの場として愛されている

この公園の南側にある大きな噴水でピンときた人はなかなか鋭い! そう、映画「僕の彼女はサイボーグ」(2008年公開)では、彼女役の綾瀬はるかさんが小出恵介さんといた女性を噴水へ投げ飛ばす、という衝撃のシーンがこの場所で撮影されたのだ。

女性が小出さん扮(ふん)するジローに手をあげたため、"彼女"はそのような行動をとったのだが……。ジローを守ろうとしたのか女性に嫉妬したのか、サイボーグゆえに表情の変化が乏しく、その真意が読めないのがもどかしい。ジローならずとも"彼女"にはやきもきさせられる。

映画「僕の彼女はサイボーグ」(2008年公開)では、ここで綾瀬はるかさんが女性を噴水へ投げ飛ばした

さて、今度は東遊園地を西側に出てみよう。少し歩くと旧居留地にたどり着く。神戸港の開港にともなって来日した外国人が居留していたエリアだ。重厚で趣のあるレトロビルがいまでも多く残されている。このビルを利用した店舗も多く、ハイブランドショップが立ち並んでいる。そんな、懐かしさと新しさをあわせ持つのが神戸の魅力といえるだろう。さきほどの「僕の彼女はサイボーグ」の舞台にもなっている。ジローと"彼女"がデートを楽しむにふさわしい、おしゃれな街並みだ。

異国情緒あふれる旧居留地は、「僕の彼女はサイボーグ」にも登場

ドラマ・映画で大活躍の兵庫県公館

旧居留地から神戸大丸店のそばを通り、元町商店街へ。元町駅から神戸駅まで東西に伸びる元町商店街には現在も舶来雑貨を扱い店舗が点在し、ところどころに異国情緒を感じさせる。老舗も多く神戸っ子に愛されているこの商店街で、ドラマ「上流階級~富久丸百貨店外商部~」(2015年フジテレビ)の一部が撮影された。カリスマ外商員役の草刈正雄さんが顧客のために奔走するシーンで、ダンディーなスーツ姿でアーケードを駆け抜けたのだ。

ドラマ「上流階級~富久丸百貨店外商部~」(2015年フジテレビ)では、スーツ姿の草刈正雄さんもこの元町商店街を駆け抜けた

そんな元町商店街に別れを告げ、今度は北へ。元町駅を越えて10分ほど歩くと兵庫県公館が見えてくる。兵庫県公館は文化庁の登録文化財にも指定されており、風格のある佇まいである。

ここは数多くの映画やドラマの舞台になっており、2001年のドラマから15年の月日を経て公開された映画「HERO」(2015年公開)にも登場する。木村拓哉さんが久利生検事として活躍するこの映画に、兵庫県公館はある外国の大使館として使われた。門の中を入ろうとヒロイン役の松たか子さんと風格ある建物を見上げるシーンは印象的だ。

検事ドラマの映画版「HERO」(2015年公開)や終戦前夜がテーマの映画「日本のいちばん長い日」(2015年公開)など、緊迫したシーンのロケ地として風格ある兵庫県公館は申し分ない

さらに、映画「日本のいちばん長い日」(2015年公開)では、明治期建築の威厳を保つこの建物の内部が使われた。太平洋戦争の終結を決断した人物に迫る数多い見せ場の中でも、ポツダム宣言の受諾を巡って激論が交わされる緊迫のシーンだ。庭園は自由に散策できるほか、建物内の県政資料館、絵画などを展示している迎賓館の内部も見学可能。なお、「日本のいちばん長い日」では神戸税関も陸軍省の建物として登場している。

出向で去る盟友との別れ

最後に、神戸を代表する六甲山系の深い緑に抱かれた山陽新幹線「新神戸駅」へ。この駅ではドラマ「半沢直樹」(2013年TBSテレビ)における前半の山場が撮影された。上りホームで堺雅人さん演じる半沢直樹が、出向を命じられた学生時代からの盟友・近藤直弼(俳優: 滝藤賢一)との別れを惜しむシーンだ。悔しさを隠し、半沢を勇気づける近藤の背中が切なかった。

ドラマ「半沢直樹」(2013年TBSテレビ)では、半沢直樹は出向となった近藤直弼に、ここで逆に励まされることに

以上、駆け足で紹介したが、神戸にはこの他にも映像の舞台になった風景がまだまだいっぱいある。余談だが、神戸は「キネトスコープ」という写真を連続して映し出すことで動画にする装置を用いて、日本で初めて映画が上映された土地と言われている。ちょっと主人公になったような気分で、映画やドラマと縁があるこの神戸を楽しんでみてはいかがだろうか。

※記事中の情報は2015年8月取材のもの

筆者プロフィール: 藤岡智子(ふじおか ともこ)

神戸市出身。フットワークの軽さを生かし、旬の情報を収集するとともに、関西を中心に取材・執筆活動を行っている。栄養士の資格を生かしたグルメ取材も多数。趣味は野球観戦。