旭化成ホームズはこのほど、「息子夫婦同居・娘夫婦同居で異なる同居前不安と交流意識」に関する調査結果を、運営する二世帯住宅研究所の報告書として発表した。調査は3月と6月に、25歳以上の一般既婚者男女1万9,884名と、将来同居検討者(親世帯父母各206名、子世帯夫妻各206名)、およびヘーベルハウスオーナー(2000~2014年建設 親世帯の母102名、子世帯の妻239名)を対象に行われた。

9割超が「同居前に不安を感じる」

「以前からある同居前不安」

同調査では、一般の方が同居前に抱く不安要素と、実際に同社のヘーベルハウスで同居生活をしている居住者の実態を、"息子夫婦同居・娘夫婦同居"という視点で調査を実施。まず、二世帯同居を阻害している心理的要因を把握するため、一般既婚男女を対象に親・子世帯同居前に感じる不安について調べたところ、9割以上の人が不安を感じていることがわかった。不安が最も多いのは息子夫婦同居の子世帯「妻」で、その理由は「嫁姑関係は何かと気遣い多い(88%)」だった。全体的には、属性を問わず「生活上の相違・干渉・負担に対する不安」など、以前からある親子同居に伴う不安が上位に上がり、相手にどれくらい合わせたらよいのかといった点を気にしている様子が伺えた。

何かと気遣いの多い同居を実際にしている世帯の実態として、ヘーベルハウス二世帯同居者のキッチンの設置数を調べたところ、息子夫婦同居の場合で81%、娘夫婦同居でも70%がキッチンを2つ設けており、水廻りなど基本的な生活を分けることで満足度が高い傾向に。お互いマイペースにくらせるような建物計画をすることが安心につながると言えるようだ。

娘夫婦同居の不安は「マスオさんへの気遣い」

「娘夫婦同居で加わった不安」

次に、娘夫婦との同居が増加している中、「母」はどのような不安を抱えているのか調べたところ、「娘夫婦同居の母娘関係は遠慮がなくなる(61%)」や、「娘夫婦同居の夫は気遣いが多くなる(62%)」といった、いわゆるマスオさん(子世帯夫=お婿さん)への気遣いなど、意外にも、実の娘との同居でもさまざまな心配があることがわかった。

一方、マスオさんの不安の1位は「1人になれない(64%)」で、「娘夫婦同居の夫は気遣いが多くなる」については、本人以上に妻や母の方が強く心配しているよう。ヘーベルハウスの娘夫婦同居者の約半数が、書斎や趣味コーナーといった子世帯の夫専用スペースを設置している。リビングはもちろん、マスオさんがくつろげるスペースを設置することが不安解消へのヒントと言えそうだ。

嫁が見られたくない場所1位は「クローゼット」

「妻と同居の母との関係」

次に、息子夫婦同居の嫁姑関係について調べたところ、「同居母とは会えばよく話をする」や「同居母とは仲がいい」と回答した息子夫婦同居の妻の割合は、娘夫婦同居の妻よりも20ポイント程度少なかったものの、いずれも6割を超えた。しかし、「同居母には言いたいことが言える」という息子夫婦同居の妻はわずか22%と、娘夫婦同居の妻(79%)よりも60ポイント近く少ない結果となった。

続いて、嫁が同居の母に見られたくない子世帯専用の部屋や設備について聞いたところ、「クローゼット」がトップとなり、次いで「寝室」「冷蔵庫」と続いた。母の多くは「子世帯の部屋・設備で見ないようにしているところがある」と回答していることから、仲は良いが、お互いのプライバシーを重視し、上手にバランスを取っている様子がうかがえた。

息子夫婦同居は「交流上手型」、娘夫婦同居は「自立×シェア型」

最後に、イマドキの息子夫婦・娘夫婦同居の嫁姑・母娘関係に焦点を当て「交流レベル」×「気兼ねレベル」で細かくタイプ分けした結果、息子夫婦同居では、発売当初の二世帯住宅で提案した「お隣さん感覚型」も17%あるものの、交流しながらもバランスよくプライバシーを保つ、いわゆる「交流上手型(49%)」が主流だった。また、娘夫婦同居では、自立意識をもって心と生活の距離を分離し、張り切りすぎない協力関係を築く「自立×シェア型(47%)」が多数派となった。