2020年にはオリンピック・パラリンピック、2027年には大阪までを約1時間で結ぶ"リニア中央新幹線"が開業予定の東京。通勤にも便利だし、やっぱり都心に住みたいけれど、家族で快適に暮らせるマンションを手に入れるのは難しい? そして実際、都内には穴場エリアは残っているの? マンションのトレンド情報に詳しい不動産コンサルタントの岡本郁雄さんに聞いてみた。

マンションはバランスで選ぶ時代

2014年以降、アベノミクスの影響で首都圏の不動産価格はじわじわ上昇中。それでも、マンションを買いたい人の意欲は「落ちていない」と、岡本さんは言う。

――最近のマンションには、どんな傾向がありますか?

家族の形態も幅広く、ライフスタイルも多様化しています。子供の小さい「ファミリー」もいれば、子なしで共働きの「ディンクス」も。独身の「シングル」の方でマンションを購入する人も多い。ライフスタイルも様々で、住居費は抑えて、趣味などに使いたい人もいます。そういった様々なニーズに応えられるよう、いろんなコンセプトのマンションが登場し広さや価格帯などの選択肢が広がっています。

マンションを買うときに重視するポイントは?(画像はイメージ)

――マンションを買いたい人はどんなポイントを重視していますか?

予算をおおまかに決めてマンション探しをする人が多いです。その上で、エリアと広さで物件を探します。1つ目の「エリア」は、通勤アクセスを重視する人が多いです。

2つ目の「広さ」については家族構成によって様々ですが、「ファミリー」や将来の子育てを視野にした「プレファミリー」は、70~80平方メートル(約40~50畳)程度の一定の広さを求める傾向があります。"職住接近"のニーズは、変わらず強いようですが、なかなか予算にあったマンションが希望のエリアや求める広さで少ないのが実情のようです。

3つ目は「資産価値」です。不動産価格が堅調で、リーマンショック以降に発売されたマンションの中にも購入時より高く売れたというケースもありますから、マンションを資産と考える人は増えているのです。

――実際に選ばれているのは、どんなマンションですか?

富裕層に人気なのは、都心のマンションです。特に、希少性の高い立地のマンションは好調です。

これから子育てをする家族には、都心へのアクセスが良く価格的にも手の届く立地のマンションも人気があります。教育費もかなり大きな出費ですから住居費をかけすぎるわけにはいきません。それでも共働きなら、都心から遠すぎるのはつらい。ですから、通勤に便利なエリアで、広さもほどほど、そして現実的な価格と3拍子そろった、"ちょうどいい物件"に人気が集まるのです。

買うなら今。その理由は?

いつかマイホームをと考えている人にとって、気になるのは「買い時」。一生に一度の大きな買い物、決断するタイミングはどうやって見極めればよいのだろうか。

――マンションを買うタイミングはいつがいいのでしょうか?

買い時の判断としては、「価格面」「供給面」「購入環境面」の3つで判断する必要があります。価格面では、1年前に比べ上昇しているエリアが多いですが、「金利」を見ると、金融緩和の影響もあり近年まれにみる低金利なのです。

トータルの返済を考えると借入金利はとても重要です。例えば4,000万円を35年ローンで借りる場合、金利が2%と1%で比較すると、総支払額は1%の方が約800万円安くなります。マンション価格は徐々に上がってきてはいますが、金利を考えれば、それを補って余りあるメリットを得られます。

買うのはいつ?(画像はイメージ)

――買うときに得するコツはありますか?

住宅ローン控除をフル活用することです。具体的には、共働きなら、共有名義でそれぞれ借り入れをすれば、2人ともローン控除が受けられます。ローン返済の負担はその分軽くなりますよ。

――そう考えると今は買い時なんですね

よく「タイミングを選んで」と言いますが、そのタイミングとは、気に入った物件と出会ったときだと思います。賃貸で家賃を払うのも、住宅ローンを払うのも、どちらも大きな出費であるのは間違いありません。それなら気に入った住宅を見つけて、早く自分のものにした方がいいでしょう。それに、退職時には住宅ローンを完済しているのが理想ですから、ローンの返済は早く始めるのにこしたことはないですね。

(※画像は本文とは関係ありません)