今年は5月に各地で真夏日が記録されるなど、汗ばむほど暑い陽気がゴールデンウィーク前後から既に見られた。そしてその暑さに比例するかのように、熱中症が原因とみられる救急搬送者も5月から各地で増加していった。

総務省消防庁によると、4月27日から5月24日までの約1カ月間において、全国で熱中症による救急搬送者が1,808人も出ていることがわかっている。この数字に驚きを感じる人も少なくないだろう。

熱中症は7月や8月といった真夏のシーズンに起きるものだと考えている人もいるかもしれないが、そうではない。6月といえど、警戒に十分値する時期と言える。そこで、日本気象協会の気象予報士・谷口聡一さんに、今夏の熱中症予想とその対策方法を伺ってみた(予想は5月中旬時のもの)。

日本気象協会の谷口聡一気象予報士

今夏の熱中症患者数は昨年並みの4万人?

総務省消防庁によると、2014年は6~9月の期間中に全国で4万48人が熱中症によって搬送されている。東京都23区で搬送された人は、8月から9月頃にかけて多くなっているが、その間は最高気温も高い。気温と熱中症患者数は正の相関が見られるといってよさそうだ。

となると、気になるのが夏場の気温。今夏はどれぐらいの暑さになるのだろうか。

■日本の天気を左右する偏西風が平年よりもやや南寄り

■暑さのポイントとなる太平洋高気圧の張り出しが平年よりも弱め

■日本の気温に影響を及ぼすチベット高気圧もやや弱い

この3点から、谷口さんは「高気圧に覆われそうな東日本では気温は平年並みか少し高め。そのほかの地域はほぼ平年並みではないか」と予想する。そのため、しっかりとした予防策を講じなければ、今夏の熱中症患者数も4万人程度になるのではないかと推測した。

今夏の予想気圧配置

6月の後半は要注意

では、どのタイミングで予防を考える必要があるのだろうか。谷口さんは、熱中症発生のリスクが特に高くなるタイミングとして下記の4つを挙げた。

「5月の暑い日」

「梅雨の晴れ間」

「梅雨明け」

「お盆・お盆明け」

「梅雨の間はくもりや雨で少し気温が下がるのですが、晴れたときには気温が上がりますので注意が必要ですね。梅雨が明けると気温がぐんと上がりますので、こちらも注意が必要です。そしてお盆やお盆明け。体を休めた後に暖かい気温のなか、いろいろと作業をされますと熱中症になりやすいです」。

熱中症リスクが高まる4つのタイミング

特に今年は、6月の後半にくもりや雨が少ないと見込まれている。それだけに、6月の後半は広い範囲で熱中症に注意が必要となる。熱中症が増えてくるタイミングで、意識的に予防策や対策を講じることが重要だといえるだろう。

そんな熱中症のリスクを一目で確認できるよう、日本気象協会は自社サイト内で「熱中症情報」を発信している。熱中症のリスクを高める要因の一つである湿度も踏まえ、全国840地点もの熱中症リスクを「ほぼ安全」「注意」「警戒」「厳重警戒」などの文言とマークを使ってわかりやすく表記。毎日3回更新することで、できる限りタイムリーな情報を提供している。これらのサービスをうまく活用するのも手だろう。

気温や湿度と熱中症の関係性を知ることも大切

気温が高くて日差しもきつい夏だが、海水浴やキャンプ、バーベキューに花火と実は格好のレジャーシーズンでもある。ただ、そんな楽しいひと時も熱中症になってしまっては台無しだ。

熱中症は、正しい知識と予防策を知っておけば防ぐことができる。気温や湿度など、天気と熱中症の関係性を知ることも、大切な予防策の一つ。どうかこれからの暑い時期は、いつも以上に天候に注意を向けてほしい。