オムロンヘルスケアはこのほど、慶應義塾大学 理工学部、自治医科大学 循環器内科学部門、OMソーラーとともに実施した「住まいと健康 室温が家庭血圧に与える影響」についての共同研究の結果を明らかにした。

居間室温と収縮期血圧(起床後)の関係(50歳以上, 断熱性能が低い住宅の居住者)

同社によると、住宅内温熱環境と血圧についての研究が近年は多く行われているが、その研究は床から1m付近の室温が家庭血圧に与える影響についての検証が中心となっているという。

そこで今回、床からの高さによる室温の違いに着目し、冬季の実生活場面での床から0.1m(足元)、1.1m(着席時の頭の高さ)、1.7m(起立時の頭の高さ)の室温と家庭血圧の実測調査を実施した。

調査は、首都圏在住の35~74歳の男女を対象に、断熱性能が低い住宅と高い住宅でそれぞれ実施した。調査期間は2014年11月~2015年2月のうち各世帯2週間とし、有効サンプルは137名(86世帯)だった。血圧は、居間において起床後・就寝前の1日2回測定を行った。

断熱性能が低い住宅において起床後に測定した最高血圧値と測定時の室温の関係を分析すると、着席時の頭の高さ(床からの高さが1.1m)の室温が10℃低下すると血圧は平均5mmHg上昇することがわかった。

次いで床から10cmの足元付近の室温が10℃低下したときの血圧を計測すると、平均9mmHg上昇することがわかった。着席時の頭の高さよりも、足元が冷える方がより血圧が上昇する傾向にある。血圧の上昇を抑えるためには、部屋全体はもちろん、足元を冷やさない温度管理の工夫が大切であることがわかる。

室温と血圧の関係

また、起床後に測定した最高血圧の値を比較すると、断熱性能が低い家の居住者(50歳以上)の平均値が128.8mmHgであったのに対し、断熱性能が高い家の居住者(50歳以上)の平均値は121.0mmHgと、7.8mmHg低かった。断熱性能を向上させて室温を高く維持すると、血圧の上昇を抑制できると考えられる。

収縮期血圧(起床後)の平均値(50歳以上の対象者)