東京商工リサーチは8日、2014年11月の「円安」関連倒産の調査結果を発表した。それによると、11月の「円安」関連倒産は前年同月比16.6%増の21件、2014年の累計では前年同期比105.5%増の259件と倍増した。

外国為替相場は2014年12月5日に1時1ドル=121円台まで円安が進み、2007年7月以来7年4カ月ぶりの円安水準となった。急速な円安は、輸出企業の収益を押し上げる一方、海外からの輸入に頼るエネルギーや食料品など幅広い分野で物価が上昇し、中小企業の体力を削るとともに、一般家庭の支出行動にも影響を与えている。

11月の「円安」関連倒産は前年同月比16.6%増の21件、負債総額は139億3,300万円。2014年1~11月の累計では前年同期比105.5%増の259件と倍増で推移しており、負債総額は849億6,200万円に上る。

円安関連倒産月次推移(数字の表)

産業別に見ると、貨物自動車輸送などの運輸業が94件(構成比36.2%)で最多。人手不足による人件費上昇と燃料価格の高止まりが影響した。以下、製造業が54件(同20.8%)、卸売業が45件(同17.3%)、サービス業他が25件(同9.6%)、小麦業が15件(同5.7%)と続いた。

日銀の追加金融緩和で円安に拍車がかかっており、政策効果で倒産は抑制されてきたものの、業績回復の遅れや円安によるコスト上昇が収益悪化を招き、さらなる業績下振れが懸念される。一方、ガソリンなど価格が下落している商品もあるが、範囲は限定的で、東京商工リサーチは「円相場の推移次第では、年明け以降は倒産の増勢も現実味を帯びてくる」と分析している。