シカと聞くと、奈良公園にいるようなニホンジカを想像する人も多いことだろう。オスの成獣には立派なツノがあり、子どものシカはかわいらしいイメージもあるが、成長すると体長は1~2メートル程度、体重も数十キログラムにまで達する。

上野動物園のジャマワメジカ

その一方で、実は両手の上に乗るくらいの小さなサイズのシカもいることをご存じだろうか。いわゆるマメジカという種類の動物で、その中でも東南アジアの熱帯雨林などに分布しているジャワマメジカは特に小さく、有蹄類(ヒヅメを持つ哺乳類の動物)の中では世界最小の種と言われている。体長は成長しても40~50センチ程度、体重も2キロ前後と、まるでウサギくらいの大きさだ。

今回は東京の上野動物園を訪れ、そんなジャワマメジカに実際に会ってきた。

こちらが上野動物園の「夜の森」エリアにいるジャワマメジカだ。エサの野菜が乗った皿と比べると分かる通り、かなりのミニサイズで黒目が大きくかわいらしい風貌。特に足の細さが特徴的で、ちょっとしたことで折れてしまうのではないかと心配になってしまうほど。

折れてしまうのではと心配になるほど足が細い

写真のジャワマメジカはオスの個体で、2002年に上野動物園で産まれたそう。「マメジイ」というユニークな名前が付けられており、ほかにメスの「マメミ」、オスの「ミミン」という3頭のジャワマメジカが同園で飼育されている。ただし、来園者に展示されていて会うことが出来るのは2014年9月現在でこのマメジイだけだ。

オスには細く小さなキバが生えている

細い足で飼育エリア内を歩きまわっていた

ジャワマメジカはオスでもニホンジカのようにツノは生えていないが、代わりに細く小さなキバが見られ、メスにはない特徴となっている。性格は非常にこわがりで臆病。展示エリア内を細い足でちょこちょこと歩きまわっており、夜の森エリアで展示されていることからも分かる通り、日没直後や夜明け前の暗い時間帯が主な活動時間だ。

与えられた野菜や果物のエサを食べている様子

野生のものは主に単独やペアで生活し、食べるのは草や木の葉などの植物類や果物など。上野動物園ではキャベツや小松菜、ニンジン、サツマイモなどの根菜類、リンゴなどの果物がエサとして与えられている。

飼育エリアはガラス張りで森の中のような雰囲気

短くふっさりとしたしっぽが生えている

飼育員さんに話を聞いてみたところ、「初めて見ると小ささはもちろん足の細さにびっくりすると思います。検査や治療の際に私たちが捕まえる時も、決して折れたりしないようにとても気をつかいます」と教えてくれた。そのほか、意外にも舌が長かったり、時おり犬のおすわりのように後ろにお尻をつくような姿も見たりすることができるのだという。

実際の展示時間中はこれくらいの明るさ

今回は写真撮影のために飼育エリアがまだ明るい開園前にお邪魔させて頂いたが、通常の開園時間中の夜の森エリアは上の写真の通りかなり暗い状態となっている。おすすめの観察時間は、比較的動きが活発な午前中の開園直後または夕方頃とのこと。ぜひ一度会いに行ってみてはいかがだろうか。

上野動物園の東園内にある夜の森エリアの入り口

上野動物園のアクセスはJR上野駅・公園口から徒歩5分、または京成電鉄上野駅・正面口などから。開園時間は9時30分~17時(入園は16時まで)。月曜休園(祝日や振替休日の場合は開園、翌日が休園)。入園料は一般600円、65歳以上300円、中学生200円(小学生以下と都内在住・在学の中学生は無料)。