上からも横からも見えるカレンダー付きメモ

大成美術印刷所は、企業広告を印刷したメモや文房具を制作するBtoBビジネスがメインの印刷会社。デザイン部門で優秀賞を受賞した「ななメガカレンダー」は、同社が得意とする特許技術「ななめカット」を使った置き形メモで、平面に印刷されたカレンダーが斜面にもきれいに浮き出ているのが特徴だ。同製品について、CS1部2グループの守山さんにお話を伺った。

「ななメガカレンダー」

守山さん「もともと企業のノベルティグッズとして『ななめもカレンダー』を作っていました。これが好評だったので、サイズを大きくして一般向けに発売しようということになったのです。ただ、『ななめカット』を使った市販品のメモを作るのは新たなチャレンジだったので、市場で受け入れられるかドキドキでした」

企業の宣伝物ではなく市販品として生み出された同製品は、たっぷり書けるメモと、1年が見通せるカレンダーを兼ね備えた機能性が売り。日本文具大賞への出品は初めてにも関わらず、デザイン部門で優秀賞を受賞した。

守山さん「メモと一体化したカレンダーなので、机上に出しっぱなしでもスペースをとらないんです。あまり売っていないタイプのメモなので、人とはちょっと違ったものを持ちたいという方にもおすすめです」

ちなみに会場には、特大版「ななメガカレンダー」が。

守山さん「『ななめカット』の技術を使って販促用に作っちゃいました。『ななメガカレンダー』よりもデカイので、『ななギガカレンダー』です。重さは大体60kgですね」

「ななギガカレンダー」は「ななメガカレンダー」の特大版!

さすが、広告文具を扱う会社というべきか、同社の技術を全力で使った宣伝だった。

「ななメガカレンダー」は500枚つづりで、市場想定価格は1,000円(税別)。発売は今秋を予定している。

気持ちを伝える回数券

続いてはデザイン部門 優秀賞を受賞した、マルアイの「ありがとう回数券」。名前の通り、サイズや改札ばさみ型の切れ込みがリアルな回数券切符型のミニカードで、「こころを伝えるコミュニケーションシリーズ」の新製品だ。マーケティング部の前橋さんに同シリーズが生まれた経緯を伺った。

「ありがとう回数券」

前橋さん「マルアイはもともとのし紙や祝儀袋などを作ってきた会社なんです。その中で、形は変わっても、思いやりの気持ちを伝える習慣は残したいという思いから『こころを伝えるコミュニケーションシリーズ』を開発しました」

同シリーズ最初の商品は、祝儀袋をイメージした「こころふせん」。ちょっとレトロなデザインと、名前を書いて貼り付けるだけで感謝の気持ちを伝えられる手軽さで、2013年3月の発売以来好評を博しているのだという。では、新作の「ありがとう回数券」はどのような目的で作られたのだろうか。

前橋さん「『ありがとう回数券』は、手紙を書くのが苦手な人も、『ありがとう』の気持ちを気軽に伝えられるようにという思いから誕生しました。何回でも使える『回数券』を使って、社内外のコミュニケーションを楽しんでほしいです」

回数券は固めの紙で出来ているので、栞のように借りた本の間に挟んで返すという使い方も。シンプルな分、使い方は人それぞれで楽しめそうだ。

同シリーズの「こころふせん」もちょっとしたコミュニケーションを楽しめると好評だそう

「ありがとう回数券」の市場想定価格は11枚入り400円(税別)。発売予定は7月中とのこと。

180°じゃ物足りない! 360°開くファイル

機能部門 優秀賞を受賞したLIHIT LAB.の「クリヤーブック<ポケット交換タイプ>」は、表紙付きだが360°折り返して使えるファイル。販売計画部の鎌田さんに開発に当たって工夫した点を聞いた。

鎌田さん「ファイルは大きければ大きいほどたたみにくいんですが、とじ具をスリムにして取り付け位置を工夫することで、パタンとたためるようにしました」

「クリヤーブック<ポケット交換タイプ>」

サイズはA4からA2まであり、子供の作品や記念日の新聞などを折ったり曲げたりせずに展示・収納できる。他のおすすめポイントについても聞いてみた。

鎌田さん「ポケットは取り外しできるので、会議やプレゼンテーションで使う資料を入れておくのにも向いています。また準備した資料をポケットに入れ終わった後に『順番が間違っていた!』となった場合、とじ具が開かないファイルでは、すべての資料を出して入れなおさくてはいけないですよね? でもこの製品はとじ具を開いてポケットごと順番を入れ替えるだけですみます。ポケットが足りなくなっても別売しているので、追加することも可能です」

鎌田さんが語るように、ポケットにすべて資料を入れ終わった後で順番ミスが発覚したときの「がっかり感」はこの上ない。だが、クリヤーブックならば簡単にミスをカバーできるのだ。

LIHIT LAB.のブースには来場者からの評価が見える「『いいね!ボタン』」と「総『いいね!』数カウンター」が設置されていた

「クリヤーブック<ポケット交換タイプ>」のA2版(税別2,400円)、B3L版(税別2,200円)は共に9月中旬発売予定。

おわりに

年々驚きの進化を遂げる文房具市場。だが、あっと驚く斬新なアイディアは、日常のちょっとした不便さや「こんなものあったらいいな」という思いから生み出されているのだということが感じられた。